(ブルームバーグ): ペーパーレス化が進み縮小傾向が続く複写機・複合機市場で、メーカー各社は戦略転換を迫られている。コニカミノルタは4日、2025年3月末までに国内外で2400人の人員を削減すると発表した。業界再編のきっかけにつながるか注目されている。

コニカミノの資料によると、同社は事業の選択と集中を行い、グループ社員一人当たりの生産性向上を図るための施策をグループレベルで実行する。今回の構造改革に伴って発生する一過性費用は25年3月期に200億円前後計上する見込み。半面、26年3月期の事業貢献利益の押し上げ効果は約200億円を見込む。

複写機・複合機市場は、コロナ禍を経て在宅勤務が広がった影響もあり、ペーパーレス化が進んで縮小傾向に歯止めがかからない。ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)のデータによると、複写機・複合機の23年の出荷実績はリーマンショック前の07年と比較して、金額ベースで約24%減少した。

23年5月にはリコーと東芝テックが複合機などの開発・ 生産に関する事業の統合計画を発表した。両社は7月1日で発足する合弁会社の設立に向けて手続きを進める。コニカミノの人員削減を受けて、今後大手でも業界再編や構造改革が起きるかに関心が集まりそうだ。

岡三証券の島本隆司アナリストは、コニカミノが発表した2400人規模の削減計画について、「妥当で違和感はない」と受け止めた。その上で、「リコーと東芝テックがジョイントベンチャーに加わるのかなど、再編の話が出るかに注目している」と話した。

会見に出席した大幸利充社長兼CEOは、複写機などの事業については「1社でやれることはやっている」とした上で、性能や機能の競争がない分野を中心に「アライアンスの可能性も追求していく」との考えを示した。

人員削減については「コーポレート部門も合わせた全社の取り組み」とし、「オフィス事業に限定するという話は一切していない」と強調した。また、一人当たりの生産性向上を図るため、ある程度判断を伴う業務でもAI(人口知能)を活用していくと述べた。

先に報じた日経新聞によると、削減の対象になるのは事務機などの海外生産拠点や、各国の販売子会社などの正規社員と非正規社員。保守・点検などのサービス人員もデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めて効率化を図るという。

午後2時過ぎに報道が伝わると、コニカミノ株は一時9.2%高の544.8円を付け、2月2日以来の日中上昇率を記録した。終値は前日比5.9%高の528.3円と続伸し、思い切った構造改革が市場で評価された格好となった。

関連記事:業績不振企業で相次ぐ人員削減、市場の評価には思い切った打ち手必要

(会見などからの詳細を加えました)

More stories like this are available on bloomberg.com

©2024 Bloomberg L.P.