(ブルームバーグ): 一部の政府関係者は日本銀行が3月か4月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除することへの容認姿勢を示している。市場ではすでに早期解除への織り込みが進んでおり、異次元緩和からの政策正常化に向けた環境が整いつつある。

政府関係者は、日銀がマイナス金利解除後も緩和的環境を維持する方針を明確化する中、実施のタイミングは日銀の判断に委ねるとしている。時期は3月、4月どちらを選んでも構わないというのが共通スタンスだ。賃金と物価が上昇傾向にあるなど正常化に向けた材料は出てきており、世界で最後のマイナス金利を終わらせる機会を逃すべきではないとみている。

政府関係者の容認姿勢は、日銀の政策正常化に向けたハードルが低下していることを示している。日銀は2%物価目標の実現を判断する上で、賃金と物価の好循環の強まりを重視している。植田和男総裁は春闘を「一つの大きなポイント」としており、雇用の7割を占める中小企業にも高い賃上げが波及するかが焦点となる。市場では13日の集中回答や連合が15日に発表する第1回回答集計が注目を集めている。

通貨当局は円安の歯止めとなる利上げにポジティブだが、財政当局は利払い費が増えて財政が悪化しかねないためネガティブというのが基本的な姿勢だ。今回はマイナス金利解除後も緩和的環境が続くことが想定されており、政府内で大きな議論は起きていない。

消費者物価指数(CPI)が物価2%目標を恒常的に上回る中、日銀は政策正常化を模索する一方で、岸田文雄首相はデフレからの完全脱却を目指している。政府と日銀は2013年1月、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向け、それぞれの役割分担を明記した共同声明を公表。当時の安倍晋三首相によるアベノミクスの一環として13年4月に黒田東彦前日銀総裁が異次元緩和を打ち出した。 

--取材協力:関根裕之.

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