2024/3/4

【超高収益】富士フイルムの「チェキ」が若者の心を掴む理由

NewsPicks 編集部 記者
「若い世代は今、デジタルに疲れている」──。
ヒットトレンドを調査するSHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣氏は、若者の現状をこう語る。
物心ついた時からスマホやインターネットを使いこなす、そんな「デジタルネイティブ」にも関わらず、敢えてデジタルと距離を置き、アナログ世界に癒しを求める若者が増えている。
その恩恵を受けている日本企業の代表が、富士フイルムホールディングスだ。
撮ったその場でプリントできるインスタントカメラの「INSTAX(チェキ)」は、年間販売台数が1000万台を超える人気商品になった。
世界100カ国で販売し、売り上げの9割以上が欧米や中国などの海外。メインユーザーはZ世代の女性だ。
INSTAXを扱うイメージング事業は、最大の稼ぎ頭になっている。
2024年3月期第3四半期の決算では、利益の43%(889億円)をイメージング事業が占めた。
足元ではアナログ人気を追い風にしているINSTAXだが、逆にデジタル化の波に押されて厳しい時代があった。
2008年にはライバルの米ポラロイドコーポレーションが経営破綻。2012年には、米コダックも倒産した。
その中で、INSTAXは生き残り、大ヒット商品に生まれ変わっている。
アナログ人気をただのブームに終わらせず、デジタルと融合させて成長にドライブをかけた富士フイルム。
INSTAX統括マネージャーの高井隆一郎氏の話をもとに、事業の再生・再成長のヒントを探っていこう。
INDEX
  • 逆風でも「やめる話」は出なかった
  • 若い女性の「ファッションアイテム」
  • 写真は「コミュニケーションツール」
  • 「機能」を取り、「不便さ」を追加