(ブルームバーグ): 大和証券グループ本社が同社初のデジタル社債を個人投資家向けに発行する。利払いは原則として楽天グループの電子マネーで行う方針。発表によると、公募型のリテール向けデジタル社債で、電子マネーで利息を支払うのは国内初。

大和証Gが21日提出した訂正発行登録書によれば、社債の総額は10億円で年限は1年、利率は0.8%。10万円単位で購入できる。利息は楽天G傘下の楽天Edyが発行する楽天キャッシュで支払う。大和証券と楽天証券が同社債を引き受け、販売する。

国内社債市場では昨年の9月以降、無格付け企業による初の公募社債が登場したり、ソフトバンクが公募社債型種類株を発行、上場したりするなど、日本企業の調達手段は多様化してきている。三井住友フィナンシャルグループなど大手銀連合もデジタル証券発行・管理プラットフォームを設立、12月には日本初となるデジタル証券の取引が大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)で始まった。

発表文で大和証Gや楽天証、社債管理者のみずほ銀行、カストディアンの三菱UFJ信託銀行、デジタル証券発行・管理プラットフォームを開発したプログマなど各社は今後、現金以外での利払いを考える国内企業に新たな調達手法を、投資家には魅力的な投資機会を提供すべく協業していくと述べた。

楽天Gにとって、こうした取り組みにより楽天経済圏を拡張することが可能になる。今回の社債では利息として楽天電子マネーが付与されるため、楽天ポイント口座が必要となる。保有していない投資家には現金により利息が支払われるという。

日本のデジタル社債市場はいまだ黎明(れいめい)期にある。発行金額は小さく試験的な発行にとどまっている。今回の大和証Gのデジタル社債は公募で、利払いを電子マネーで行うという点で新しい。丸井グループはこれまでエポスカードの会員向けにデジタル社債を発行してきたが、利息は現金とエポスポイントで支払われている。

デジタル証券はブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い、電子的に発行される債券。デジタル化によって発行体はより柔軟な条件や金額で社債を発行できる。証券会社を介さない発行も可能で、発行体が社債保有者を把握できる点に特徴がある。

日立製作所は昨年12月、国内最大となる100億円のデジタル環境債を機関投資家向けに販売した。販売先は日本生命保険などの生保、中央の公的機関、その他諸法人と、投資家層にも広がりがでてきている。

(第4、5段落に今後の取り組みなどについて追記しました)

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