ソニーグループ、HDD容量倍増 新半導体部品でAIデータ大量保存
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HDDに代表される磁気記録技術は、様々な技術開発に支えられて記録容量が増加しています。
磁気記録は小さな棒磁石を並べ、S極とN極をデジタル信号の0と1に見立てて情報を記録する技術です。
棒磁石を平面内に並べる面内磁気記録が主流でしたが、それを垂直方向に並べる垂直磁気記録が発明、実用化されて一気に記録容量が増えました。
余談ですが、垂直磁気記録は日本人が発明して世界のデファクトを取った技術だったりします。
人類が扱うデータ量が爆発的に増加し、記録容量増加ニーズに応えるためには棒磁石のサイズを小さくして限られた面積に多くの情報を詰め込む必要が出てきました。
情報を書き込むためにはペンの役割をする磁気ヘッドと呼ばれる部品が必要になります。
ペン先のサイズ低減には限界があることから、「ペンを細くできないなら重ねて書いちゃえば良いじゃん!」ということで瓦を重ねるかの如く記録する「瓦書き記録(Shingled Magnetic Recording)なる技術が生まれました。
生成AIなどによりもっと記録したい!という要望が生まれますが、ここで困った事態になります。
実は磁石はサイズを小さくすると熱によって方向がバラバラになってしまう性質を持っているのです。
磁石が熱でバラバラにならないようにするためには、磁石がある方向を向きたいという頑固な性質を高めれば良いのですが、そうすると磁石が頑固であるが故に情報を書き込むことが難しくなってしまいます。
このジレンマを解消する技術が熱アシスト記録であり、情報を書き込む時だけ熱を加えて局所的に頑固な磁石を素直な磁石にしています。
実は熱を加えるとHDDのディスク表面の潤滑剤にダメージが入ったりするため、熱ではない別のアシスト方式としてマイクロ波アシスト方式なる技術も開発されています。
少し難しい話ですが棒磁石は微妙な脈動をしており、その周波数とマッチした周波数を外部から与えると頑固な磁石も素直になる、というのが原理です。
【参考】
次世代HDD技術がついに登場、東芝はMAMRで勝負する
https://limo.media/articles/-/7688
SMR?CMR?HDDの書き込み方式は2種類
https://www.pro.logitec.co.jp/houjin/usernavigation/hddssd/20190207/熱アシスト記録っていう技術でHDDの記録密度にブレークスルーがおきた。加熱した場所だけ書き込みができるので、磁気ヘッドより小さな領域に書き込めるようになった。
https://www.get-it.ne.jp/column_technical-advisor_002/#:~:text=%E7%86%B1%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%88%E8%A8%98%E9%8C%B2%EF%BC%88HAMR%EF%BC%89%E3%81%AF,%E7%A8%8B%E5%BA%A6%E3%81%BE%E3%81%A7%E5%8A%A0%E7%86%B1%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82HDDの記事が日経の1面に載るとは珍しいですね。
AIによるデータ生成でデータ総量は増加はしても、果たしてHDDに保管されるべきものがどれだけあるのか。
NVIDIAを始めとしたAI関連銘柄が活況ですが、一方で下火続きだったHDD業界が再び息を吹き返すか、注目です。