23年実質賃金、2年連続減 物価高、2.5%マイナス
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実質賃金全体では前年比▲2.5%も、一般労働者では同▲2.0%、パートタイム労働者では同▲1.3%にとどまっています。
背景には、一般労働者は前年比+1.0%に対し、パートタイム労働者が同+3.9%も増えたことでバートタイム労働者比率が上がったことが平均賃金の押し下げに効いています。
また、名目賃金の内訳で最も伸びが低いのが所定外給与の同+0.3%となっており、背景には所定外労働時間が同▲0.9%も減っていることがあります。
このため、最も手っ取り早い賃上げ策は労働時間規制の緩和だと思いますが、今年はさらに労働時間規制が強化されますので、今年も実質賃金のプラスは高いハードルとなるでしょう。インフレで実質賃金が減ったのは世界共通。だったら、米国のようにコロナ貯蓄を取り崩して消費を確保すればいいのにと思うのですが、日本ではどうしても節約志向が働いてしまうのが悲しいところです。
物価が上がれば賃金もそれに応じて上がって当然ですが、物価の上昇率を超えて賃金を上げるには生産性を改善するか労働分配率を高めるほかありません。日本の労働分配率は企業の儲けが多い時に下がり少ない時に上がる傾向があり、円安とインフレの恩恵で企業の利益が膨らむ今は労働分配率が下がっているので、折からの労働力不足を反映して労働分配率を上げて物価上昇率以上の賃上げが為されてよいように思うのですが、資源高と円安による交易条件の悪化で日本で活動する企業が生み出す富の一部が海外に流出していることはたぶん間違いなく、雇用の流動性が低い中で賃金の不利益変更が認められない企業としては、たとえ金額的に見れば儲かっていても、労働分配率を高めるに躊躇するだろうことは想像に難くありません。結局のところ、生産性が上がらない中でインフレが起きれば、物価上昇率と賃金上昇率の綾で一時的に実質賃金が上がる局面はあるにせよ、中長期的に実質賃金が下がるのは避けられないように感じます。今起きているのは正にその現象じゃないのかな・・・ (・・;