(ブルームバーグ): 米格安航空会社ジェットブルー・エアウェイズによる38億ドル(現在の為替レートで約5600億円)規模の同業スピリット航空買収計画について、マサチューセッツ州ボストンの連邦地裁は16日、競争が損なわれ、航空運賃引き上げにつながるとして認めない判断を下した。

同地裁のヤング判事は、両社が統合すればコスト意識の高い利用客の利便性を損なうとして、連邦政府の主張に沿う判断を示した。

同判事は16日の書面で、 「ジェットブルーによるスピリット買収が少なくとも提案通りに認められれば、航空業界でユニークな革新性と価格規律を提供する、数少ない主要競争相手の一つが消えることになる」と指摘。「さらに悪いことに、今回の合併はジェットブルーが独自路線を行く格安航空会社としての原点を放棄する方向への動機付けを与える公算が大きい」との見解を示した。

政府側は昨年11月、合併によってより大手の航空会社が格安運賃を提供する大きなインセンティブが失われると主張した。今回の判断は、合併に攻撃的な姿勢を取るバイデン政権の反トラスト法(独占禁止法)執行当局にとって大きな勝利を意味する。同当局は現在、 米航空持ち株会社アラスカ・エア・グループによるハワイアン・ホールディングス買収計画(19億ドル規模)を審査中。

報道後にスピリット航空の株価は一時、61%急落したが、その後、一部戻し、終値は47%安。一方、ジェットブルーは一時11%上昇したが、終値は4.9%高。

ジェットブルーとスピリットは、中小の航空会社が有力な航空会社と効果的に競争できる唯一の方法は統合だと主張した。両社は共同声明で「法的プロセスの一環として、次の措置を検討している」とした。

両社は、ヤング判事の判決を不服としてボストンの連邦高裁に上訴することも合意を撤回することもできるが、合併合意の期限が6カ月後に切れることを考えると上訴の可能性は低いとみられる。

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原題:JetBlue-Spirit Deal Blocked by Judge on Antitrust Grounds (2)、JetBlue-Spirit Deal Blocked by Judge on Antitrust Grounds (3)(抜粋)

(背景などを追加して更新します)

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