東証、低PBR対策さらに推進 15日に開示企業一覧を公表
日本経済新聞
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企業が生み出す将来のキャッシュフローを”(東証が重視する)加重平均資本コスト”で割り引いたものを企業価値、言い換えれば時価総額と考えるなら、その7~8割は向こう3~5年であることが多い事業計画期間を超えた遠い未来の利益で決まります。PBRを高める最大の原動力は、その成長力を如何に高めるかにある筈です。
ところが、個人株主主体の小体の会社が多い日本の市場では、目先の決算に表れる利益とバランスシートの形で株価が決まりがち。それを気にして研究開発投資、マーケティングコスト、人材育成経費といったものを抑えれば、目先の利益と引き換えに、将来のキャッシュフローを却って減らすことになりかねません。自社株買い等の株主還元で成長資金を流出させる行為もまた同じ。
何が企業価値を高めるかは個々の会社と事業の性格によって異なります。「資本コストや株価を意識した経営に向けた取り組みを開示した企業一覧の公表を始める」ことに異論を唱える積りはないですが、果たして東証にそうした目利きは出来るのか。株主還元と目先の利益の嵩上げ策ばかりが評価されることにならないように念じます。