(ブルームバーグ): 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は資産運用業務を強化する。グループの運用資産残高を2029年度(30年3月末)までに現在の2倍となる200兆円に増やす方針だ。亀澤宏規社長がブルームバーグのインタビューで明らかにした。

亀澤氏は「資産運用を、銀行、信託、証券に続く第4の柱にしたい」とし、貯蓄から投資の流れの中で、「われわれとしてもお客様の資産を倍増させるため運用力を強化する」と述べた。受託財産事業の収益貢献割合も倍増したい考え。営業純益に占める同事業の割合は23年3月期で6.7%だった。

現預金の割合が高い日本の家計金融資産を投資に振り向け、企業の成長や個人の財産形成を促進するため、国内で官民を挙げた投資・運用の高度化の動きが広がっている。こうした中でMUFGも国内最大手の銀行グループとして資産運用業務に関する収益基盤を拡大する。

岸田文雄政権は資産運用立国を掲げ、金融機関の資産運用力向上を促すため海外運用会社などの参入を促す一方、年明けから始まる新NISA(少額投資非課税制度)で証券市場に個人マネーを呼び込もうとしている。9月末の家計金融資産は2121兆円と株高の影響などで4四半期連続で過去最高を更新した。

亀澤氏は運用力強化へ「報酬制度もカルチャーも変える」と強調した。具体的には、ファンドマネージャー自身も報酬の一部で投資することなどで運用成績を顧客と共有し、積極的な運用姿勢を後押しする。投じた資金は一定期間、換金できない仕組みも導入する。退職しにくい環境も整えて腰を据えた運用を促す。

MUFGは7月下旬、資産運用ビジネスを強化するため、24年4月をめどに傘下の三菱UFJ国際投信の株式を三菱UFJ信託銀行から持ち株会社に移管すると発表した。同信託銀や三菱UFJ銀行と同列とし、経営の独立性や透明性を高める。社名も「三菱UFJアセットマネジメント」に変更した。

利上げは「財務的にプラス」

来年以降の利上げ観測が高まる日本銀行の金融政策について、利上げは「基本的には財務的にプラス」との認識を示した。その上で、金利が上がると社会全体でコストがかかるとし、収益力向上が必要となる顧客に対し、「われわれがどういうソリューション提供やアドバイスをできるかが極めて重要だ」と話した。

人口増加や経済成長が期待できるアジアへの投資も引き続き積極的に行う。亀澤氏は「アジアとデジタルの掛け合わせでこの3年間、結構投資してきた。今の取り組みを引き続き続ける」と意欲を示した。

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