Yoshifumi Takemoto Kentaro Sugiyama

[東京 13日 ロイター] - 岸田文雄首相は13日、臨時国会の閉会に合わせて記者会見を開き、自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー問題を巡り、信頼回復と国政の遅滞回避の観点から14日に人事を行うと表明した。人事の内容は調整中とした。「国民の信頼回復のため火の玉となって先頭に立つ」と述べ、再発防止へ向けた改革の実施も強調した。

「火の玉」という言葉を用いた意図について、「この状況に対する強い危機感を総理・総裁である私こそ最も強く感じている、そういった思いを込めた」と説明した。

一方、新たに任命する閣僚に問題が発覚した場合の自身の進退を問われると「仮定の質問に答えるのは適切でない」と回答。松野博一官房長官や西村康稔経産相など疑惑が報じられている安倍派所属の閣僚を交代させるかどうかの質問には「現在調整を続けており、あす明らかにする」と述べるにとどめた。

衆院の解散や来年9月の党総裁選に出馬する可能性については「いま先のことを考える余裕がない」とした。

自民党では、最大派閥の安倍派が政治資金パーティーの収入の一部を議員側に還流し、政治資金収支報告書に記載せずに裏金化していた疑惑が報じられている。

国内メディアは、首相が14日に安倍派所属の松野官房長官、西村経産相、鈴木淳司総務相、宮下一郎農水相の4閣僚を交代させると報じている。同派幹部の萩生田光一政調会長は辞意を固め、世耕弘成参院幹事長、高木毅国対委員長も辞任の見通しという。

<日銀には政府の政策を念頭に適切な判断を期待>

日銀の植田和男総裁の「チャレンジング」発言により、市場ではマイナス金利政策解除の観測が浮上している。デフレ脱却に向けた政府・日銀の連携を問われた首相は「構造的な賃上げを伴う経済成長、物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指していくことで政府・日銀は一致している」と説明。

具体的な金融政策は「日銀に委ねなければならない」としつつ、引き続き政府の経済政策や取り組みを念頭に置いて適切な判断を期待したいと述べた。

岸田政権は海外の投資家や経営者に対し日本への投資を呼びかけてきたが、政治資金問題で政権基盤が不安定化し、政策の先行き不透明感が強まることを海外勢が嫌気するおそれもある。

岸田首相は「政策の基本である政治の安定、政治の信頼が問われる事態は大変残念なことであり、そうあってはならないと強く感じる」と強調。政策の推進と並行して政治への信頼回復を強い覚悟をもって続けていくと語った。