[20日 ロイター] - <為替> ギリシャ債務不履行の懸念が高まる中、ユーロが全面安の展開となった。逆にドルは主要通貨に対して上昇した。

ユーロ/ドル<EUR=>は終盤0.70%安の1.0730ドル。欧州中銀(ECB)の量的緩和策(QE)に加えて、ギリシャが数カ月以内にユーロ圏を離脱するのではという観測がユーロ売り圧力となった。

またギリシャ政府は20日、国営企業などがが抱える余剰資金を中央銀行に移管するよう指示したことで、ギリシャの資金繰りをめぐる懸念が増した。

ECBのコンスタンシオ副総裁は、ギリシャが債務不履行に陥っても必ずしもユーロ圏を離脱する必要はないと述べた。ただECB当局者は、5月に期限が迫る国際通貨基金(IMF)に対する10億ユーロの償還資金への懸念は消えていない。

<債券> 国債価格が下落。株高を受け、安全資産として国債を買う動きが後退した。ただギリシャに対しては引き続き警戒感が払しょくされていない。

三菱UFJ証券USA(ニューヨーク)の米国債トレーディング部エグゼクティブ・ディレクター、トマス・ロス氏は「ギリシャ絡みで前週末以前に見られた国債に対する質への逃避の動きがここにきて多少後退している」と述べた。

ギリシャについて、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁はこの日、ギリシャがユーロ圏を離脱することになったとしても、影響は2年前と比べ限定的になるとの見解を示した。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期について、経済動向次第とし、年内の利上げ開始を望むとの見解を表明。指標が年内の利上げを支持する内容となることを望むが「経済の先行きは不確実なため、正常化のタイミングも不透明なままだ」と述べた。

<株式> 急反発して引けた。中国人民銀行(中央銀行)が、預金準備率を100ベーシスポイント(bp)引き下げたことを好感。米企業決算をめぐって慎重ながらも楽観的な見方から、ハイテク株が買いを集めた。

ハイテク株の業績に対する見方は、先週のインテル<INTC.O>やネットフリックス<NFLX.O>、20日のチェック・ポイント・ソフトウエア・テクノロジーズ<CHKP.O>などの決算発表を受けて、やや明るくなってきた。

ネットセキュリティー対策ソフトを手掛けるチェック・ポイントの第1・四半期は利益が予想を上回り、株価は5.1%上がった。

ナショナル・セキュリティーズのチーフ市場ストラテジスト、ドナルド・セルキン氏は、これまでの有力ハイテク企業決算が好調だったので、他の企業も同じように良いだろうと市場参加者は考えていると指摘。「危険なのは実際の決算発表前に株価が上がって期待のハードルが高くなり、失望の素地が生まれることだ」と述べた。

<金先物> 反落。ドル高や株高を背景に安全資産としての魅力が後退、売り優勢となった。

<米原油先物> 反発。供給過剰懸念から売りが先行したものの、中東不安などを背景に上げに転じた。

サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相はロイターとのインタビューで、4月の同国の原油生産が日量1000万バレル近辺で、過去最高に迫る水準で推移していることを明らかにした。これを受けて供給過剰感が再び意識され売りが台頭、早朝の電子取引では一時55ドルを割り込んだ。

売り一巡後には、地政学的リスクを回避するため買い戻しが入り、57.17ドルの高値まで反発。サウジの治安当局が国内の商業施設か石油施設を標的としたテロの危険があるため、警備を強化したとの報道が買い材料視された。加えて、エネルギー情報会社ゲンスコープが発表したリポートで、米国の原油受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫(14日から4日間)が減少したと伝わったことも相場を下支えした。