Yoshifumi Takemoto

[東京 8日 ロイター] - 厚生労働省が8日に公表した10月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比2.3%減少し、19カ月連続のマイナスとなった。物価上昇に賃金の伸びが追いついていない状態が続いている。製造業の残業減なども響いた。賃上げ効果などでマイナス幅は9月の2.9%から縮小した。

労働者1人当たり平均の名目賃金を示す現金給与総額は、前年比1.5%増の27万9172円。9月は0.6%増だった。

一方、消費者物価指数は前年比3.9%上昇と9月の3.6%からプラス幅が拡大し、実質賃金は前年比マイナスとなった。

現金給与総額のうち、所定内給与は前年比1.4%増(9月は同1.0%増)の25万2825円と伸びが拡大した。春闘による賃上げの影響が寄与した。

一方、所定外給与は同0.1%減(9月は同0.5%減)の1万9466円と2カ月連続のマイナスだった。10月は所定外労働時間が前年比1.8%減少しており、厚労省は製造業などの残業時間減少が影響したとみている。

ボーナスなど特別に支払われた給与は同7.5%増(9月は同8.6%減)の6881円で、3カ月ぶりにプラスに転じた。

毎月勤労統計で用いられる消費者物価指数は、2020年基準の持ち家の帰属家賃を除くベース。食品などの値上げにより昨年以降、高い水準が続き今年1月には5.1%まで上昇、その後も3%台後半で推移している。