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経済を成長させるのは労働力と設備と技術の伸びですが、この三つが急速に成長する特殊な環境下にあったのが昭和です。団塊の世代を下に年齢別人口構成は綺麗なピラミッド型でしたから、学校を卒業して働き始める人が毎年、加速度的に増えて行く。高度経済成長が始まる1955年に15~6%だった家計の貯蓄率が高度経済成長最終年の1973年には25%弱に達し、溜まった預金が銀行の手で企業の設備投資に回る。戦艦大和やゼロ戦を作った優秀な技術者が戦後の焼け野原のゼロ状態から先進国の技術を急速に取り入れる。そしてまた、商品サイクルの長い画一的な製品を不特定多数に売る製造業が世界経済の根幹でした。
新卒一括採用・年功序列・終身雇用を前提にOJTとジョブローテーションで金太郎飴型のコミュニケーションの良い集団を作って時間を掛けてカイゼン・摺合せを繰り返して製品のコストを下げ品質を良くし、小型化・静音化で使い勝手を良くする。若い人が多く高齢者が少ないので、若い人の人件費を低めに抑える年功序列が総人件費の抑制に効き、終身雇用の高齢者の高い報酬が若年層のやる気と会社への忠誠心を鼓舞する。こうしたことが企業の国際競争力を生んだのが昭和という時代です。
ところが平成に入って少子高齢化が進み、貯蓄率が下がって預金の多くが企業の設備投資でなく銀行等の手で国債の購入に回り、技術も世界のトップに追いついて伸びなくなりました。高齢者が多く若者が少なくなれば、年功序列終身雇用は企業の総人件費を高め、賃金を抑制された働き盛りの若手・中堅層のやる気を落とす方向に働きます。ICTが発達してきめ細かいサービスが要求される変化の激しい時代に、金太郎飴型の同質な集団は無力です。
昭和時代の競争力の源泉が全て逆回転しているにも拘わらず、高度経済成長期に確立した仕組みに固執しているのが我が国の姿です。企業を保護して解雇させないことを基本とする労働契約法、裁判所の整理解雇の4条件、雇用調整助成金といったものがその典型。その結果、特殊な“日本型正社員(終身雇用義務がある)”と“日本型非正規社員”の間で極端な処遇格差が生まれ、企業は事業構造の転換がままならず、全体的に賃金が削減されて行く・・・ 
「日本は『昭和を終わらせる』ことに失敗した」との警鐘が痛いほどに身に染みます。
「失われた30年」や昭和の「いい時代」などの言葉を否定はしませんが、ノスタルジー以上に後ろ向きすぎる言葉な気がします。
私たちは歩みを止めている訳でも下がっている訳でもなく、変わりゆく環境のなか進み続けているという当たり前のことを改めて意識するのも大事かなと想います。
どなたの記事かと思ったら山口周さん。
日本が「失われた30年」を抜け出せない理由について、社会心理学の創始者であるレヴィンの言葉を補助線に語られています