(ブルームバーグ): 三井住友フィナンシャルグループは27日、太田純社長兼グループCEO(最高経営責任者)が25日午前に死去したと発表した。65歳だった。広報担当者によると、すい臓がんだった。

当面、中島達副社長が職務を代行する。近日中に後任社長の選定を行うとしている。通夜・告別式は遺族の意向により、近親者のみで行う。

太田社長は14日の決算会見への出席を体調不良により直前で取りやめていた。10月上旬のメディアイベントでは、国内の金利環境などについて活発に発言していた。

太田氏は京都大学法学部卒で、1982年に旧住友銀行(現三井住友銀行)に入行。2009年に三井住友銀の執行役員となった。大和証券グループ本社との法人事業の合弁解消時には、三井住友銀の投資銀行部門担当として交渉に当たった。

19年4月に三井住友FG社長に就任。豊富な投資銀行業務の経験から国内外で大企業向け営業を活発化させた。また、SBIホールディングスとの資本業務提携でも自ら交渉役を務めた。今年3月には傘下の三井住友カードと連携し、新しい金融総合アプリ「Olive(オリーブ)」を始めるなど、リテール分野での改革にも目を配った。

三井住友FGの今期(24年3月期)の連結純利益は9200億円と過去最高を更新する見込み。太田氏の社長就任時に4000円近辺だった株価は、7000円超まで上昇している。

     SBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストは太田氏について、これまでの銀行のカルチャー(文化)ではダメだということで「社内のカルチャー改革を加速してきた。実行力のある人だった」と評価。オリーブの取り組みなど「金利が戻ってくる時代が近づく中、預金や顧客の囲い込みを他社より一歩先んじた」とも指摘した。

代行を務める中島副社長は、かつて最高財務責任者(CFO)を務め、現在はホールセール事業部門共同事業部門長の立場にある。鮫島氏は「投資家にもよく知られており、安心感はあると思う」と述べた。

全国銀行協会の加藤勝彦会長(みずほ銀行頭取)は太田氏について、「わが国を代表する金融グループのトップとして、金融界全体の発展のために、精力的に活動されてきた」などとし、「今後も活躍されることが期待されていただけに、残念でならない」とのコメントを発表した。

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--取材協力:谷口崇子、沢和世.

(全国銀行協会会長のコメントを追加して記事を更新します)

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