(ブルームバーグ): 14日の東京株式市場でソフトバンクグループの株価は続落し、時価総額で通信子会社ソフトバンクを下回った。親子で時価総額が逆転するのは6カ月ぶり。ソフトバンクGの株価純資産倍率(PBR)は1倍を下回っている。

ソフトバンクG株はの5726円で取引を終え、時価総額は8兆4172億円となった。一方、同社が4割株式を保有するソフトバンクは前日と同じ1763円で引け、時価総額で親会社を約350億円上回った。

今回のソフトバンクGと通信子会社の企業価値の逆転現象は、東京証券取引所が資本コストや株価を意識した経営を日本企業に呼び掛ける中で現れた。東証は年初来、PBRが1倍割れの企業に改善を要請してきた。14日現在、ソフトバンクGのPBRは0.88倍で、ソフトバンクは3.6倍。

「異常に売られている。いびつな状況」と、いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は話す。ソフトバンクG株が割安であることで、経営陣による自社買収(MBO)やシナジーを生まない通信子会社の株式を手放す可能性が想起されると述べた。そのため「投資のチャンス」でもあるとし、今後株は買い戻される可能性があるという。大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストも「今が買い場」との見立てだ。

ソフトバンクGは9日、上期(4ー9月)に1兆4087億円の純損失を計上したと発表、翌日に株価は8.2%下落した。一方、ソフトバンクは8日、上期の純利益が前年同期比約3割増の3021億円になったと発表、決算説明会で宮川潤一社長は決済アプリ子会社PayPay(ペイぺイ)の海外上場の可能性も示し、翌日株価は3.2%上昇した。

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