[8日 ロイター] - スイスの金融大手UBSは8日、3月のクレディ・スイス救済合併後初となる「AT1債(その他Tier1債)」を起債した。

LSEG傘下のIFRによると、UBSのAT1債は5年物と10年物で、利回りはそれぞれ9.625%と9.75%。販売開始当初の約10%から低下した。

UBSはAT1債に260億ドルを超える投資家の強い需要があったといい、起債完了後にさらに追加情報を提供するとしている。

格付け会社S&Pグローバルは「BB」の格付けを付与した。

この債券は、資本水準が一定の基準を下回った場合、または政府の特別な支援を受けるなどの重大な事象が発生した場合に株式に転換される。S&Pによると、こうした機能はUBSの年次株主総会で承認される必要があるが、クレディ・スイス救済時のように債券が紙くずとなることは回避できる。

UBSによる買収に当たりクレディ・スイスが発行した170億ドルのAT1債は無価値とされた。銀行の資本が一定水準を下回った際の「緩衝材」としての役割に疑問が生じ、市場が動揺した。

欧州の銀行はその後AT1債の発行を再開したが、市場回復に向けた次の段階としてUBSによる起債が待たれていた。