[ソウル 31日 ロイター] - 韓国サムスン電子が31日発表した第3・四半期決算は、前年同期から78%の減益となった。供給がだぶついている従来型半導体の減産を今後も継続し、来年に見込まれる生成AI(人工知能)向け高性能製品の需要拡大に備える方針を示した。

AI機能を搭載した端末の普及で、広域帯メモリー(HBM)など高性能DRAMチップに対する需要が2024年に高まると予想した。同年にHBMの生産能力を現在の2.5倍以上に引き上げる計画も明らかにした。

同社のメモリー事業幹部は電話会見で、半導体業界が底を打ったとの認識が広がり、顧客から購入の問い合わせを受けていると説明。「在庫水準の正常化を踏まえると、パソコン・モバイルメモリー市場の回復が加速すると見込む」とした。

サムスンは今年、深刻な半導体不況を乗り切るために減産に踏み切った。市場が回復しつつある中、NAND型フラッシュメモリーを中心にさらなる生産調整を行うとした。 

第3・四半期の営業利益は2兆4000億ウォン(17億8000万ドル)。同社が今月示した見通しと一致した。前年同期の10兆8500億ウォンから減少したものの、今年第1・四半期の6400億ウォン、第2・四半期の6700億ウォンからは大きく改善した。

半導体事業の営業赤字は3兆7500億ウォンに縮小。従来型半導体の減産を継続しつつ、AIに使用されるDRAMなどより収益性の高い先端半導体に注力したことが寄与した。第2・四半期は4兆3600億ウォンの赤字だった。

売上高は12%減の67兆4000億ウォン。

データ記憶に使うNAND型フラッシュメモリーはAI需要の恩恵を受けないため、今後の回復を見通すのが難しい。ただ、アナリストは減産継続が従来型製品の回復時期前倒しにつながると予想している。