配慮疲れの周囲も当人も…「発達障害」は理解とハックが大事
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ラース・フォン・トリアーと監督の『メランコリア』という映画があります。とんでもなく暗い話で「なんで鬱展開の映画をつくるんだ」とけげんに思っていました。しかし『発達障害なわたしたち』を読んで、この映画の意味もわかるようになりました。
登場するヒロインは、まわりを振り回してばかりの女性。彼女と交際する男性は最悪の結婚式を迎えます。しかし人類滅亡の日がやってきたとき(唐突な展開ですみません!)、穏やかに最期を迎えるのはその女性。
「人類最後の日」という超ニッチなシチュエーションですが、どんな人にも得意とする状況はある。それを思い切りエクストリームなかたちで表現しているんだと理解することができました。
もちろんトリアーという人自身も、よくも悪くもエクストリームな脳の個性の持ち主なのでしょう。エッセイ漫画で、しかも親しみやすい絵柄だから気軽にサクッと読めると思ったらいい意味で裏切られます。
監修の先生の解説ページも挟み込まれており、症状の具体的かつ専門的な説明が充実しています。
作者の周辺または取材先のさまざまな事例(パターンも多様というのがミソ)、配慮疲れしている周囲の方々にも、生きづらさを抱えている当事者にも、とても学びが多いうえ、エンタメとしてクオリティの高い作品となっています。
私も「(現在進行形で)あるある!」「そういうの、よくあった」と頷きながら一気に読みました。
ここ数年、発達障害をテーマにしたマンガ作品が多く刊行されていますが、『発達障害なわたしたち』は是非モノです。また、カレー沢薫さんの『なおりはしないが、ましになる』も、このテーマの是非モノとしておすすめいたします。
ちなみに、筆者である堀田さんが書かれている「名誉ならざる戴冠式」…。私も子どものころ、朝早く起きるのが苦手で「寝坊助王国のプリンセス」を戴冠したことがあるな、と懐かしく思い出しました(笑)。