(ブルームバーグ): 1ドル=150円前後の円安水準が続く中、為替変動の業績への影響度を公表している主要企業の今期(2024年3月期)利益には1兆4000億円程度のプラス効果がありそうだ。時価総額上位30社のうち感応度を開示する10社の決算資料などを基に試算した。

期初から10月25日まではドル・円レートの実績値を用い、26日から期末までは現在の水準である150円が続くと仮定して今期の為替レートの平均を算出。各社が発表している想定為替レートとの差に感応度を乗じて業績への影響を算出した。恩恵が最も顕著に現れるのはトヨタ自動車で、ドルに対して1円の円安が営業利益を450億円押し上げる。

輸出関連が多くを占める上位企業全体では追い風となる。今後業績予想への反映により上方修正期待が高まる上、上振れ分を株主還元や従業員への賃上げにつなげる余裕が生まれる可能性がある。

一方で、長期化する円安は輸入企業にとってはコスト増により業績悪化リスクとなる。東京商工リサーチによると、年初から9月までの累計で円安関連の倒産は38件に上る。輸入飼料の価格高騰など原料価格の高騰で、酪農企業などが倒産した。一部の企業にとっては円安は必ずしも喜べない状況だ。

多様な事業を抱えるソニーグループの場合は、事業ごとに為替感応度が異なる。ゲームやエレクトロニクス事業ではドルに対して円安が業績にプラスに働くものの、半導体や米国を主な拠点にしている映画製作などの分野では円安により費用が増加する。

調査した各社の今期の想定レートは1ドル=125円~135円で、いずれも現在の円安水準が反映されていない。

主な影響は以下の通り:

出所:各社開示資料よりブルームバーグが作成

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--取材協力:古川有希.

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