2023/10/28

【山口真由】卵巣年齢50歳。私が選んだ「卵子凍結」という切り札

NewsPicks 記者・編集者
将来、子どもを持ちたい。でも、キャリアや人生のタイミングも大切にしたい。
そんな女性たちの間で、将来の妊娠・出産に備える「卵子凍結」が注目されている。
卵子凍結とはその名の通り、若い状態の卵子を採卵し、凍結しておく技術のこと。
信州大学特任教授で、情報番組でコメンテーターとしても活躍する山口真由さんも、卵子凍結を経験した当事者だ。
36歳のときに卵子凍結を決意し、5回の採卵で15個の卵子を凍結
今年6月には、第一子の出産を発表した。
卵子凍結について、「働く女性の選択肢を広げうる技術だ」と語る山口さん。
一方で、「卵子凍結で苦しい経験もたくさんしたので、メリット・デメリットをあわせて広く社会に知ってほしい」と力を込める。
特集「卵子凍結のリアル」1本目では、山口さんのエピソードとともに、卵子凍結について考えてゆく。
働く女性はもちろん、パートナーとなる男性や、職場でマネジメントや経営に携わる全ての人に読んでもらいたい内容だ。
INDEX
  • 卵巣年齢は「50歳」だった
  • 毎日「卵子」のことを考えた
  • 30代後半の治療は「本当に」辛い
  • 合理的な人でも「やめられぬ課金」
  • 「生殖知識」は20代の新しい教養だ
  • 社会が「男性中心的すぎた」
  • 「卵子提供」という次の議論
  • 出産を経て、今思うこと
  • 生きる「モチベ」が変わった

卵巣年齢は「50歳」だった

── 卵子凍結をしようと思ったきっかけを教えてください。
私が初めて自分の卵巣年齢に向き合ったのは、36歳のときでした。
友人との会話で海外の卵子凍結の話題が出て、ふと自分の卵子の年齢を調べてみようと思ったのがきっかけです。
当時の私は、自分自身が子どもを持ちたいのか、そうでないのか。その決意と覚悟を全く持てていなくて。
もしかしたら、私は子どもがいない人生なのかもしれないなとも、思っていました。
それから、テレビなどでは40歳を過ぎて出産をされている著名人の話題が取り上げられることもあった。
「40を過ぎても、欲しくなったら産めるんだろう」とどこか思っていた節もあります。