【直言】日本よ、観光「依存」を恐れるな
コメント
注目のコメント
フェデリカ上級研究員の取材補助、およびヴェネツィアの現地取材をしました。
私は、9月上旬にヴェネツィアに行きました。
オーバーツーリズムが問題となっているように報道されますが、実際に現地人の方はどう考えているのか?を探るべく、現地の方3名に取材を敢行。
詳しくは本文に譲りますが、観光客が大勢来ているという意識は皆さん持たれていました。
ただ、彼らに共通しているのは、現状を悲観しきっているわけではないということでした。むしろ、「ヴェネツィアは美しい町だし仕方ないよね」と言わんばかりの穏やかな明るさでみなさん話してくださるのです。観光客が大勢やってくること含めてヴェネツィアである、と淡々と現実を受け入れていたように私には見えました。
現地の研究員の話、そして現地取材も盛り込んだ本記事を、ぜひご覧いただけますと幸いです。
===以下、こぼれ話ですが===
取材を受けてくださったゴンドリエーレ(ゴンドラ使い)の方は、なんと7代目だそう。
漕ぎ方を学ぶ学校はもちろんないため、親から直々に学び、練習を重ねて一人前になるのだそうです。また、立ちながら漕ぐため、船はゴンドリエーレの体重に合わせてオーダーメイドでなければならないそう。
こうしたゴンドラの文化も、ヴェネツィアの住民がいるからこそ存続しているものです。しかし、観光客が完全にいなくなったら、ゴンドラ文化は存続できるのでしょうか……。観光とは、つくづくバランスであると考えさせられました。オーバーツーリズムの問題は、京都や東京、大阪だけでなく、徐々に地方にも広がっています。
しかし、外国人観光客を受け入れる準備が整っているでしょうか。
外国人観光客を呼び込めないという課題を抱えた地域もありますが、ソーシャルメディアの影響力によりある日突然外国からの観光客が押し寄せるという可能性もあります。
このような状況に備えて、日帰りでは帰らせないためにも宿泊施設が整備されているか、観光地を巡るための交通手段や、英語での案内が充実しているか、といった重要なポイントに焦点を当てていく必要があります。
ここ数年、外資系ホテルの建設が急増しており、欧米人にとっては馴染みのあるブランドのホテルがある地域での宿泊に安心感があります。
したがって、今のままを受け入れてもらうのではなく、外資系ホテルの誘致を含めた魅力的な観光地づくりを、模索していく必要がありそうです。「今重要なのは、どのような観光地になりたいのかというビジョンです(記事から引用)」
最も重要なのは、どのような地域になりたいのかというビジョンと現状把握です。観光は地域経済を支える手段の一つでしかありません。昨日もコメントしたところですが、地域のあり方やビジョンは観光視点だけで考えるものではないはずです。
どのような産業構造で支えられていたとしても、住民や地元事業者が主導権を持ち続けることが出来れば、例え依存度の高い産業があったとしてもその産業を基軸にしたバランスの良い成長が可能になります(実例等は、藻谷浩介氏との共著「観光立国の正体(新潮新書)」で紹介しています)。
日本はあまりにも多くのものに依存することで成り立っています。依存することを否定せず、多様な関係性を維持しながらも自立を目指した成長が大事だと考えます。