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Miho Uranaka Maki Shiraki Makiko Yamazaki

[東京 19日 ロイター] - 経営統合を目指す半導体メモリー大手の米ウエスタンデジタル(WD)と日本のキオクシアホールディングス(東京・港区)が、20日までに金融機関から1兆9000億円の融資の確約を得られる見通しとなった。事情を知る関係者4人が明らかにした。

融資は日米の半導体連合誕生への追い風にはなるが、両社が基本合意して統合が実現するまでには、キオクシアに間接出資する韓国半導体大手SKハイニックスの同意や中国競争当局の承認取り付けが課題として残る。

関係者らによると、20日までに三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、政策投資銀行の各行から融資証明(コミットメントレター)が揃う見込み。融資は運転資金や負債の借り換えに充てる。

三菱UFJとみずほ、政投銀、キオクシアはロイターの取材にコメントを控えた。三井住友とWDのコメントは現時点で得られていない。

浮上しては消えていた両社の統合計画は、今年春ごろ協議が加速した。交渉状況を知る関係者2人によれば、両社は10月末の基本合意を目指しているが、ファンドを通じてキオクシアに約15%出資するSKハイニックスの同意をまだ得られていない。また、基本合意に至っても、世界各国の競争規制当局の審査があり、米中対立が強まる中、特に中国の承認を得られるかどうかは不透明だという。

SKハイニックスが統合に同意していないことは、日本経済新聞が先に報じた。日経は、統合交渉が不調に終わった場合に備えてSKハイニックスがソフトバンクグループに連携を打診したとも伝えたが、SKハイニックスはこれを否定し、統合に難色を示しているかどうかについてはコメントしなかった。

キオクシアとWDはNAND型フラッシュメモリーの世界シェアで2位と4位。統合が実現すれば、最大手の韓国サムスン電子と並ぶことになる。

前出の関係者の1人によると、両社は新たに持ち株会社を設立し、WDのメモリー事業とキオクシアが傘下に入る。WDのハードディスク駆動装置事業は切り離して売却する。持ち株会社は、株式の過半をWDの株主、半分弱をキオクシアの株主が握る方向で進めている。登記上の本社は米国で、本社機能は日本とする。社長にはキオクシアの早坂伸夫社長が就き、取締役の過半もキオクシアが占める。まずは米ナスダックに上場し、東京証券取引所への上場も目指す。

キオクシアはもともと東芝の事業で、2018年に米投資ファンドなどからなる連合に売却された。WDとはこれまで三重県や岩手県の工場運営などで協業しており、21年ごろから統合に向けた交渉を進めてきた。足元ではスマートフォンなどの需要低迷で半導体メモリー市況は急速に悪化。両社は22年10─12月期から3四半期連続で最終赤字に陥っている。

(浦中美穂、山崎牧子、白木真紀、清水律子 編集:久保信博、石田仁志)