「最悪の冬」を予想と英フードバンク、60万人以上が支援必要
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この背景にはBrexitによって税関審査をEUからの食糧・食料輸入にもかけなければならなくなったことも踏まえないといけない。一応当時の拙稿を入れておく。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200128/se1/00m/020/043000c
EUとは関税同盟である。関税同盟はFTAと違い、対内関税原則0だけでなく、外からの輸入にも共通関税を課すことに大きな違いがある。
例えば日本と中国大陸とはRCEPという緩い形でのFTA/EPA相当のものを結んでいるが、例えばそこにないEUからの輸入について、関税のかけ方を変えても構わない。日本はEUとFTA相当のEPAを結んだが、中国大陸は確かそうではない。だからこそ、その外からの関税のかけ方が各国で違うので税関チェックがFTAでは残る。
対して、関税同盟は対外共通関税だから、その域内にどこから入れても共通関税で、域内は関税0。そのため、域内の貿易については税関でのチェックを外せる。例えば中国大陸からドイツに入れてもフランスに入れても、輸出した代物の関税率は同じであり、フランスからドイツに例えば食料・食糧を輸出したとしてドイツで税関チェックはかからないのでスムーズに行く。
ところがこの前のBrexitつまりUK(連合王国イギリス)のEU離脱に伴い、UKとEUとは例外なきFTAという形に変わってしまった。関税同盟を残す選択はしなかった。そのため、フランスやスペインから従来ならUKには何の制限もなく食料・食糧を入れられたのが、今では税関チェックをしなければならなくなった。当然、スムーズになど通常はいかない。
離脱までの移行期間を長くして税関を増やすなどして長蛇の列ということは避けられたが、それでもUKは元々、食料・食糧に関して決して良い状態とは扱われていなかったのが、EUにいたことで改善していた、ということは忘れてはならない。生鮮食品にこうした税関チェックをかければ当然、それだけ届くのが遅れるが、その対処は本質的にUK域内での食料・食糧自給の確保しかなく、その短期的対処は出来ない。
単純に食料・食糧価格が高騰したから、というだけでなく、EU域内から入れにくくなった中での高騰である。
そして、それもEU離脱というUK有権者の選択の結果だということも。