[東京 1日 ロイター] - 内閣府が今年2月にまとめた経済財政の中長期試算について、自民党の財政再建に関する特命委員会が2日の会合で、独自の検証、分析結果を提示することが1日、わかった。

経済成長とともに国内総生産(GDP)に対する国・地方の債務残高の比率は低下するが、2023年度には底を打ち、反転上昇するとの試算を示す。

試算は、自民党の河野太郎・行政改革推進本部長が内閣府の中長期試算を独自に検証し、導き出した。内閣府の中長期試算では、高成長が続けば債務残高対GDP比が15年度の195.1%から20年度に186.0%となり、23年度までは右肩下がりの改善を続ける姿となっている。

これに対し、河野氏の検証では、日銀が量的・質的金融緩和政策からの出口戦略を採り、すでに発行した利付国債も含む加重平均金利の上昇は避けられないと判断。23年度以降は悪化に転じると結論付ける。複数の政府、与党筋が明らかにした。

20年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、名目3%後半の高成長が続いても9.4兆円、GDP比で1.6%の赤字が残り、収支均衡の実現はなお厳しい。ただ、債務残高対GDP比では高成長が実現する前提のもとで改善が見込まれ、政府・与党の一部に、より達成しやすい目標として、導入を求める声がある。

河野氏は2日の会合で、財政の健全化に向け、社会保障などの歳出改革を行えばプライマリーバランスの収支均衡が可能なことに加え、試算結果を例に、成長頼みの再建策の危うさを指摘する。

*見出しを一部修正しました。

(梅川崇 編集:山口貴也)