DJ-ドル高はまだ終わらないもよう=ドイツ銀行
2015/04/01, ダウ・ジョーンズ
ドルは年初から大半の期間、多くの投資家やアナリストの予想を超えるペースで上昇し続けた。主要通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のドル指数は2014年に12%上昇し、今年は3月第2週まででさらに8%の伸びを見せた。
だが、ここ数週でドルの勢いは失速している。米連邦準備制度理事会(FRB)が3月18日、米経済の成長見通しと金利・インフレ予想を引き下げたことで、ドル高の原動力となってきた金融引き締めへの期待がくじかれたためだ。
ドイツ銀行のG10為替戦略グローバルヘッド、アラン・ラスキン氏は、これまでより緩やかにはなるものの、ドル高は続くと予想している。以下は最近のインタビューの一問一答。
WSJ:3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後、ドルに一体何が起きたのか。
ラスキン氏:FRBの利上げ時期に関し、市場は非常に敏感になっている。FRBが6月に金融引き締めを開始すれば、米金利の見通しが次なるドル高の材料になる、という自然な流れになるだろう。ただ、引き締め開始が9月まで遅れれば、ユーロは1.14ドルまで上昇する可能性がある。一方、6月の利上げに市場が一段と自信を深めた場合、ユーロはドルに対して3月のFOMC後以上の急伸を遂げることはないだろう。11月ないし12月まで待たざるを得ない場合、外国為替市場には多くの調整を行う時間が与えられる。
WSJ:改善しつつあるユーロ圏経済はユーロ相場をどの程度支えそうか。
ラスキン氏:為替市場への影響として考えられるのは、欧州中央銀行(ECB)が2016年9月までの量的緩和(QE)を完遂するかという問題で、経済指標がどの程度考慮されるかだ。ECBはQE開始に多大な努力を払ったため、簡単に手を引くことはないとみている。ECBが16年までに政策を変更する可能性は低い。だが、経済指標の改善が見込まれれば、追加緩和の正当性は薄れるだろう。
WSJ:誰がユーロを売っているのか。
ラスキン氏:外国人投資家は欧州の株式と債券で10兆ユーロ程度(約1290兆円)を保有している。ユーロが急落し始めたとき、こうした参加者は為替エクスポージャーのヘッジを促された。これはユーロ売りを意味し、自己実現的にさらなるユーロ安を招いた。ユーロ相場を大きく動かす上で、欧州資産を徹底的に売り込む必要はない。外国人がユーロ建て資産のエクスポージャーをヘッジするだけで事足りる。
WSJ:為替投資家にとって今後は何が大きなリスクとなりそうか。
ラスキン氏:投資家の視点からすると、FRBが長期間利上げを見送れば、ドル高の原動力となってきた(FRBと他国中銀の)金融政策の相違という中心的な見方からずれることになる。米経済が伸び悩む一方で他国経済が優れた実績を上げ、FRBの利上げが予想より遅れれば、ドルは下落する可能性が高い。こうしたシナリオも実現し得るが、決して中心的なシナリオとは言えない。
WSJ:円相場の見通しはどうか。
ラスキン氏:現時点では円が出遅れると考えている。輸出競争力で極めて優位な円相場の効果は、かなり時間がかかったがようやく輸出量の増大という形で現れている。また、日本銀行が追加緩和を行う可能性は低そうだ。相場予想は15年を1ドル=125円、16年末を130円としている。これを踏まえると、生命保険会社など日本の投資家にとっては米国債が優れた投資対象になりそうだ。
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