パンはどこでも買えるのに、3990円のサブスクがなぜ人気? UX観点からワケを考える
コメント
注目のコメント
パンスクは月額3990円で、全国のベーカリーから選ばれる8個程度の冷凍パンがお客さんのもとへと届けられます。サービスは、スタートしてからわずか3年で会員数が3万人を突破するという驚異的な成長。
食パンや菓子パン、クロワッサンなど、さまざまな種類のパンが段ボールに詰められて届けられます。お客さんはこれらのパンを自宅の冷凍庫で保存しておくことができ、食べたいときには家庭用のトースターで温め直すだけで、まるで焼きたてのような熱々のパンを楽しむことができます。
日常的にコンビニやスーパー、近所のパン屋で気軽にパンを購入できる中、なぜ多くのお客さんが月額4000円近くのサブスクでパンを購入したがるのでしょうか。
多くのお客さんが「実は焼きたてのパンを熱々の状態で食べたい」という強い感情があります。
たとえば、食パンのようなシンプルなパンでも、焼き立てのものとそれ以外のものとでは、その味や香りは驚くほど違います。多くの人が、パン屋さんで焼きたてのパンを購入し、家に帰って食べようとすると、すでに冷めてしまっているという経験を持っているでしょう。
「パンスク」では、冷凍状態でパンが送られてきます。このため、お客さんはパンを食べるときに解凍してから温めるだけで、まるでパン屋さんで焼きたてのパンをその場で食べるような体験をすることができます。さらに、全国のベーカリーからランダムに選ばれるパンが届くことにはガチャのようなワクワクする楽しさもあります。
↓↓↓
深刻に困っているわけではないにも関わらず、多くのお客さんが「実は焼きたてのパンを家で楽しみたい」というニーズを持っていたのです。表面上は意識されていない、しかし奥底にあるお客さんの本当の望みや欲求を指す「顧客インサイト」と呼ばれるもので、これを正確に捉えることがマーケティングの鍵となります。
顧客インサイトは「人を動かす隠れた気持ち」とも言われ、日常ではお客さん自身も気づいていない、無意識の下にあるものです。ここを正確に捉え、それに応じたサービスや商品を提供することで、お客さんの「欲しい」という気持ちや「買いたい」という行動につながります。
お客さんが自ら言葉にして説明できないような顧客インサイトを見つけ出し、それに合った価値提案をすること。これが、マーケティングの真髄であり、そのおもしろさがあります。