(ブルームバーグ): 法定通貨を裏付け資産とする「ステーブルコイン」の発行に向けて、暗号資産(仮想通貨)交換業で世界最大手のバイナンス・ホールディングスの日本法人「バイナンスジャパン」と三菱UFJ信託銀行は26日、共同検討を開始すると発表した。2024年中の発行を目指す。

発行依頼者をバイナンスジャパンとし、三菱UFJ信託が開発を主導するステーブルコインの発行・管理基盤である「プログマコイン」を活用する。円やドル、ユーロ建てのステーブルコインの発行を目指しており、さらに他の通貨も視野に入れている。バイナンスジャパンは仲介業者としてステーブルコインの取り扱いに必要な「電子決済手段等取引業」のライセンスも取得する。

バイナンスジャパンの千野剛司代表はブルームバーグのインタビューで、バイナンスはグローバルではすでにステーブルコインでの取引が最も流動性が高く、顧客の取引も集中していると説明。「日本でもいち早くステーブルコイン建ての暗号資産の取引を提供していきたい」と述べた。さらに、決済としての利用も行えるようにしていきたいという。

ステーブルコインを巡っては、「国産ステーブルコイン」の発行に向けて、金融機関が連携する形で共同検討を始めたと三菱UFJ信託が11日に発表。26日にはオリックス銀行もスタートアップ企業とともに、ステーブルコインを発行する実証実験を開始すると発表し、動きが活発化し始めている。

10月2日に設立予定の新会社「プログマ」の最高経営責任者(CEO)に就任する三菱UFJ信託の齊藤達哉氏は、世界的には20兆円弱のステーブルコインが発行されており、「個人的には少なくともその25%ほどの市場規模が日本にもあるのではないかと考えている」と話す。

その上で、銀行間ではコインは共通した方が顧客の利便性は高いとみるものの、バイナンスの顧客層とは重ならないとみており「得意とするエリアがすみ分けられているので、別々のブランドとして出した方がむしろ良い」と述べた。

関連記事:

  • 国産ステーブルコイン来年前半にも発行、三菱UFJ信託など共同検討
  • バイナンス日本法人、早期に100銘柄の暗号資産を提供へ-3倍に拡大

(4落目以降を追加しました)

More stories like this are available on bloomberg.com

©2023 Bloomberg L.P.