Kentaro Sugiyama

[東京 25日 ロイター] - 岸田文雄首相は25日夕、物価高対策や持続的な賃上げなど10月中をめどに取りまとめる総合経済対策の柱立てを公表した。物価高に直面する国民に対して経済成長の成果を適切に還元するとし、長らく続いてきたコスト削減型の経済から着実に転換できるよう強力に後押ししていくと語った。

首相は、これまで賃金や設備投資、研究開発投資までコストカットの対象として削ってきたことで「冷温経済」となっていたが、その状況を脱して「適温経済」に移行するチャンスを迎えていると強調。企業の新陳代謝による経済の供給力の強化・高度化などに集中的に取り組んでいくと述べた。

経済対策は、1)物価高から国民生活を守る、2)持続的賃上げ、所得向上と地方の成長、3)成長力につながる国内投資促進、4)人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革、5)国土強靭化など国民の安心・安全──の5本柱になると説明。その上で、対策を取りまとめた後、速やかに補正予算の編成に入りたいと語った。

経済対策の重要な部分となる成長力強化については、賃上げ税制の減税制度の強化、戦略分野の国内投資促進や特許などの所得に対する減税制度の創設などを検討していく考え。27日の「新しい資本主義実現会議」で議論する。また、同日には認知症と向き合う高齢社会実現会議を立ち上げ、認知症政策の総合的な推進に向けて検討を深めていくとした。

衆院の解散・総選挙についての質問には「経済対策をはじめ、先送りできない課題に一意専心取り組んでいく。現在それ以外のことは考えてはいない」とし、従来の説明を繰り返した。

物価高の原因とも指摘される為替円安の是正の必要性については「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であること、過度な変動は望ましくないということ、これは従来から申し上げてきた通り」と指摘。「引き続き高い緊張感を持って注視していきたい」と述べた。