サンパウロの「極小物件」、中流以上の若者の間で人気急増
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ブラジルではこの手の極小物件はStudioと呼ばれていますが、ここ数年間サンパウロで建てられている新築物件のほとんどはこのタイプと言っても過言ではありません。
不動産データ会社EMBRAESPによれば、新築分譲住宅の76%が45㎡以下の広さで販売されているというデータがあります(2021年集計)。さらに、ここ10年間で新築ワンルームマンションの平均的な広さが46.1㎡から27.5㎡になるなど、かつては日本のワンルームマンションを見てあれはペット用の住宅だろう?とよく皮肉を言われていましたが、それはすっかり過去の話になりました。
とはいえ、日本の典型的なワンルームと違うのは、この記事にもあるようにランドリーやコワーキングスペース、ジム、イベントスペースなどが共有部にしっかり設置してある点で、住民同士でシェアするものがほとんどです。
こうした需要が増えてきたのは、都市部における単身者層の増加、1㎞進むのに1時間かかってしまうこともあるほど年々悪化する交通渋滞、そして都市の中に様々な娯楽や仕事ができるカフェやコワーキングスペースが増えたことで、多様なワークスタイルが可能になったことも大きな点でしょう。
極小住宅が増えたことで家電などもコンパクトが進み、日本のDaisoをはじめお手軽に住環境をコーディネートできる雑貨屋さんが急増しているのも一つの結果と言えるでしょう。限られたスペースを上手に使うため、片付けコンサルタントで日本人のコンマリさん(近藤麻理恵)がブラジルでも大ブームになっているのも合点がいきます。
とはいえ、たった数年でこれだけ多くのワンルームマンションが増えたことで、似通った間取りや外観をもつ建物が増え、都市景観的には非常に陳腐なものになってしまっているのは設計者的には悩ましいところです。
そういう意味で、ワンルーム文化が根付いている日本や他の都市からは多く学べることがあるのではと思っています。