2023/9/13

【保存版】リーダー必見。生産性が上がるGoogle Workspaceの超便利テク集

NewsPicks Brand Design / Senior Editor
 Googleのツールには、誰もが一度はお世話になっていることだろう。

 だが、これらを企業向けに提供するクラウド型サービス「Google Workspace」が、さまざまなビジネスの現場の生産性を高めていることは意外と知られていない。

 日進月歩で進化し続けるGoogle Workspaceをフル活用し、劇的な経営改善、売上向上を遂げているのが、明治クッカーだ。
 代表の西原亮氏は、“牛乳屋さん”の2代目社長として事業を成長させるかたわら、YouTubeチャンネル「cooker8 by 明治クッカー」でGoogle Workspaceの活用術を発信。チャンネル登録者数5.4万人を誇る(2023年9月現在)。

 今回は西原氏のガイドで、Google Workspaceのアプリケーションを使って、誰でも簡単にチームの生産性を向上させられる超便利テクニックを紹介しよう。
INDEX
  • なぜ“牛乳屋さん”がGoogle Workspaceを使い倒すのか?
  • チームの報連相や情報共有を効率化
  • リーダーこそGoogle Workspaceを使うべき理由
  • リーダーに実践してほしい「超便利テク」集
  • 新ツール導入のヒント

なぜ“牛乳屋さん”がGoogle Workspaceを使い倒すのか?

 本題に入る前に、そもそもなぜ“街の牛乳屋さん”である明治クッカーが、Google Workspaceを活用するに至ったのか?
 遡ること約30年前。同社は株式会社明治の特約店として牛乳やヨーグルトを仕入れ、千葉県内で配達を開始した。代表の西原亮氏は2013年に、2代目として家業を継いだという。
「父から継いだ牛乳配達は、決して儲かるビジネスとは言えません。1つの商品を仕入れ、配達にかかる経費などを差し引くと、残る利益は2〜3円。いかに販売量を増やすかが勝負です。
 同じエリアの競合店は十数軒にもなり、加えて顧客の7割は60代より上の世代です。新規顧客の獲得が難しく、限られたパイを奪い合う、非常に競争が激しいビジネスです」(以下、西原氏)
 牛乳配達業の経営者は顧客層と同様、その多くが60歳以上で、新規参入はほぼゼロ。配達車や業務用の冷蔵庫・冷凍庫が高額で、参入障壁が高いのだ。
 いわば、斜陽産業の代名詞だろう。しかし西原氏は、廃業予定の競合を次々に事業承継し、西原氏が社長に就任した10年前と比べて、顧客数・売上高ともに600%増という、牛乳販売店としては異例の急成長を果たしている。
 明治クッカーは、スタッフ数が7倍に増えるなか、店舗間やスタッフのマネジメントコストを徹底的に下げながら、営業リソースを増やすことに成功した。
 その陰には、バックオフィス人員の大幅削減を実現したGoogle Workspaceの徹底活用があったという。

チームの報連相や情報共有を効率化

 デジタルツールが世の中に数多あるなかで、なぜ西原氏はGoogle Workspaceを使い始めたのか。
きっかけは「情報共有に伴う雑務で営業活動の時間が取れない現状を何とかしたい」との思いだったという。
「報連相のためのメール送付、『あのファイルどこ?』『最新のファイルはどれ?』というやり取りで、生産性は決して高いとは言えない状況でした」
 しかしある時、西原氏は普段触れてこなかったGoogleのツールのポテンシャルに気づく。
「試しにGmailの右上にあるメニューからスプレッドシートを触ってみたところ、関数を組んでの分析に十分な機能性、そしてリアルタイムで情報共有できる利便性の虜になりました」
「以前のGoogleのサービスに対する自分のイメージは、『メールとカレンダーとマップ。無料で使えるサービスだからみんな使っているだけでしょ』でしたね」と西原氏。
 以来、明治クッカーではGoogle Workspaceを徹底的に使い倒してきた。主なメリットは大きく分けて3つある。
1:紙による情報共有がほぼゼロに
資料を印刷する手間や「メールに添付して共有する」という習慣が不要になった。

2:ファイルを探し回るロスがなくなる
検索性の高さはやはりGoogleならでは。ドライブ内の欲しいファイルがすぐ見つかる。各ファイルの更新データを集約することで、最新ファイルを探し回る手間がなくなった。

3:報連相のマインドコストが下がった
時間的なロスはもちろん、進捗の「聞かなきゃ」「報告しなきゃ」にまつわる精神的コストも激減。
 さらには、会議も「情報共有ではなく、困りごとを解決するため、仕事をよりよくするための議論の場として機能し始めた」という。

リーダーこそGoogle Workspaceを使うべき理由

 チームの生産性を高め、業績アップにつなげている西原氏。その秘密は、Google Workspaceのツール間の徹底した“シームレスな連携”にある。
 たとえば、よくある会議のセッティングのやり取りを見てみよう。
 実は、これらのコミュニケーションがすべてGmailの画面上で完結できる。やり取りのなかでタスクが発生しても、他のタブやツールを新たに開く必要もない。
 もし後日対応が必要なメールがあれば、画面右端に並ぶアイコンから「ToDoリスト」をクリックして開き、メールをドラッグ&ドロップ。これだけでタスク追加が完了する。
 さらに日付を入力すれば、連携されたGoogleカレンダー上で、期日にタスクが表示されるのだ。
 Google Workspaceは、多くのアプリケーションがGmailの画面上に集約されているため、わざわざ別画面を新たに開く必要がない。
 実際、西原氏も「スタッフが業務にあたってGmailの画面から動くことはほぼない」と言う。
「Google Workspaceはさまざまなツールを内包していますが、その本質を一言で表すなら“チームのためのコミュニケーションツール”
 1度の入力でシームレスに連携可能だから、コミュニケーションがサクサク進む。特に、組織をまとめるリーダーにとっては、便利で手放せなくなるツールだと思います」

リーダーに実践してほしい「超便利テク」集

 ここから、チーム内のコミュニケーションコストが激減する、西原氏オススメのGoogle Workspace超便利テクをご紹介しよう。
 スペースは、3人以上のチームでのコミュニケーションに最適なGoogleチャットの機能だ。
 前述のとおり、Gmailの画面上で、タスクを割り当てしたり、会議スケジュールを設定したりと、シームレスに連携が可能。
 プロジェクトや案件ベースで、スペースを作っておくと、組織内のコミュニケーションがよりスムーズになるだろう。
 常時80個ほどのスペースに参加しているという西原氏のイチオシ機能は、2023年から実装された「スレッド返信」機能
「これで、大手のコミュニケーションツールに引けを取らない機能性が揃いましたぜひ活用してみてほしいです」
 会議のセッティングにGoogleカレンダーを使う人は多いだろう。もし日時とメンバーの調整、会議のURL発行だけにとどまっている場合は、ぜひ会議の全情報を集約してほしい。
 西原氏がチームの生産性アップのカギとして太鼓判を押すのは、「時間の分析情報」機能だ。
 たとえば「会議」ならオレンジ、「営業活動」は青、「社内作業」は緑……と、スケジュールを色分けしておくと、何にどれだけ時間を割いたかが可視化され、週単位での振り返りに役立つ。
 「この機能は自身の振り返りだけでなく、1on1でのフィードバックにも効果的です」と西原氏。
「成果の出ないメンバーには、過去のカレンダーを実際の行動に合わせて入力し直してもらうと、『思った以上に事務作業に時間を取られている』といった課題が可視化されて、働き方を改善をしやすくなりますよ」
 部署やスタッフごとにファイルを最新版に更新してもらい、メール添付で受け取る──そんな作業に時間を費やしていないだろうか。
 日々変動するデータをリアルタイムで共有できるGoogleスプレッドシートは、コメントやメンションをつける機能もあり、シート上でもコミュニケーションが可能だ。
 また、スプレッドシート独自の「インポートレンジ関数」で複数のスプレッドシートを集約すれば、“リーダー専用の閲覧用ファイル”が完成。リアルタイムでチーム管理がしやすくなる。
 さらに西原氏も「ユーザー待望だった」と語る注目の機能が、ワンクリックでガントチャートが作れる「タイムラインビュー」だ。
「もはや、わざわざ個別にプロジェクト管理ツールを導入する必要はなくなったと言っても過言ではないかもしれません。Google Workspaceは、まさに日進月歩。機能のアップデートの速さが最大の魅力ですね。
 僕の周りでもGoogle Workspaceの真価を知らないどころか、いまだに使っていない人が多く、非常にもったいなく感じています」
 リーダーの使命は、チームの生産性を高めること。それにはツールの力を借りない手はない。まずは最小単位から導入してみて、シームレスな連携がもたらす効果をぜひ体感してもらいたい。

新ツール導入のヒント

西原 デジタルツールに慣れないスタッフに対しては、インプットをどれだけ簡素化できるかがカギ。そこで役立つのが、Googleフォームです。
 営業実績といった定型の報告なら、アンケートフォームにしてしまうことで、スタッフは現場で実績を入力するだけ。
 回答データのスプレッドシートが自動で作成されるので、カスタマイズ次第で高度なアウトプットが実現します。
西原 大切なのは、スタッフが変わらざるを得ない状況を作ること。「他のツールはありません。これだけ使ってください」という強いトップダウン、そしてインプットの簡素化の両軸で進めましょう。
 人は変化を嫌うもの。必ず“抵抗勢力”は出てきますが、実は多くの場合、壁になるのは、機能性よりもマインド。2〜3週間も使い続ければ慣れてくれます。
 明治クッカーでは、「俺はやらない」と言っていた75歳のスタッフも、Googleフォームへの入力を問題なくできるようになりましたよ
西原 基本性能はそのままに、各ツールがどんどん使いやすく多機能化されていく。徹底したシームレス化と高速アップデートこそがGoogle Workspaceの魅力です。
 課題ごとに新しいツールを導入して解決するのではなく、一つひとつのツールをとことん使いこなす。そのほうが社員は成長を感じられますし、モチベーションが高まります。