[上海 1日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラは1日、セダン「モデル3」の航続距離の長い改良版を中国、欧州、中東、オーストラリア、日本で発表した。

中国での最低販売価格は、従来の基本モデル(後輪駆動)より12%高い25万9900元(3万5807.78ドル)。これまでの値下げ路線を転換した。

その一方で中国と米国で上級車種の「モデルS」と「モデルX」の価格を約14─21%引き下げた。基本モデルの値上げは利益率の拡大につながるが、上級モデルの値下げはEVメーカーが直面する値下げ圧力を浮き彫りにする形となった。

同社がデザインを刷新した新モデルを投入するのは2020年の「モデルY」以来。

<最初に中国市場に投入は初めて>

米国よりも先に中国で新モデルを発売するのは初めてとなる。米国での新型モデル3の発売時期は明らかにしていない。

改良版は中国のほか、中国製の車両を輸出している地域に投入しており、当初は上海工場で製造するとみられる。モデル3はカリフォルニア州フリーモント工場でも生産している。

同社のホームページによると、中国で発売する改良版(標準モデル)の航続距離(定格値)は同国の試験規格で606キロメートル。同国で販売している基本モデルより約9%長い。

中国ではすでに注文を受け付けており、第4・四半期に納車を開始する。オーストラリアでは来年1月から納車する。

中国法人によると、改良版は音響システムを改善し、インテリアも改良した。また、後部座席にはディスプレー画面を設置。ヘッドライトを新型にするなど外観のイメージを一部変更した。

テスラはドイツのミュンヘンで今月開かれる自動車ショーでも新型モデル3を披露すると発表した。同自動車ショーでは、フォルクスワーゲン(VW)やメルセデスもEVの新モデルを発表するとみられている。

<ハイランド計画>

ロイターは昨年11月、テスラが「ハイランド」のコード名でモデル3の改良型を開発していると報じていた。プロジェクトの関係者は生産コストを削減することと、モデルの魅力を高めることが目的と話した。

テスラは新型モデル3の電池について詳細を明らかにしていない。関係筋は中国の寧徳時代新能源科技(CATL)製のLFP(リン酸鉄リチウムイオン)電池で、基本モデルと同じものと述べた。

航続距離が伸びたのは車体の重量を減らしたほか、デザインを改良して風の抵抗を少なくした結果だと説明した。