[東京 31日 ロイター] - サントリー食品インターナショナルの小野真紀子社長はロイターとのインタビューで、「RTD」と呼ばれる開封してすぐ飲める缶チューハイなどの酒類を世界的に強化していく考えを示した。オーストラリアで新たに始める事業をモデルに、生産から販売まで自前で手掛ける体制を他地域に展開することを視野に入れる。

同社は今月3日、オーストラリアに清涼飲料と酒類両方を生産する工場を約380億円で建設すると発表した。連結子会社フルコアサントリーが工場を建設し、サントリーホールディングス子会社ビームサントリーと協業する。2024年半ばに稼働し、これまでコカ・コーラグループに委託してきた酒類の現地生産と販売をサントリーグループで一貫して手掛ける方式に切り替える。

缶コーヒー「ボス」や炭酸飲料「オランジーナ」など清涼飲料に特化する同社が、酒類を生産するのは初めて。小野社長は「これが新しいモデルとなり、今後参考にしながらほかのマーケットも検討していきたい」と語った。特に欧州では供給網と販売網が充実しているため、様々な選択肢が可能と述べた。

背景には、缶のチューハイやカクテル、ハイボールなど開封してそのまま飲める酒類市場が世界的に広がっていることがある。サントリーグループは、2030年に20年比約2倍の最大680億ドルまで市場が拡大すると予測している。

オーストラリアではビームサントリーが開発し、21年に発売した「-(マイナス)196℃」(日本の「ストロングゼロ)」)が好調で、初年度の販売数量は目標の6倍に達した。

小野社長は、ボスなどの清涼飲料ブランドの世界展開を加速する方針も明らかにした。すでに東南アジアやオセアニア地域に進出しているが、コーヒーやエナジードリンクは潜在能力が高いとし、「グループ内のアセットを活用し、シナジーを生み出しながらラインアップを拡充していきたい」と語った。

*インタビューは30日に実施しました。

(佐古田麻優、Rocky Swift 編集:久保信博)