[15日 ロイター] - S&Pグローバルは15日、気候変動対策などを盛り込んだ米国のインフレ抑制法(IRA)によって銅やニッケルなど電気自動車(EV)用金属の需要が予想以上に増加することから、鉱業部門は「かなりの課題」に直面すると指摘した。

同法施行から1年を迎えるのを前にリポートを公表した。

IRAは米国や自由貿易協定締結国で採掘された金属を原料とするEVやソーラーパネルなど再生可能エネルギー製品に対して税額控除措置を提供する。中国、ロシア、北朝鮮、イランを含む「懸念される外国企業」からの金属調達は2025年に禁止されるため、メーカー各社は供給確保にしのぎを削っている。

リポートによると、昨年8月の法施行以来、EV用金属需要の見通しは12─15%上向いているという。

S&Pグローバル副会長でリポートの共同執筆者であるダン・ヤーギン氏は「エネルギー転換は鉱物供給への圧力を高めており、IRAはこうした課題に拍車をかけている」とインタビューで語った。

「IRAは投資を呼び込む役割として、意図された通りに機能している」と述べた。

ただ、鉱山の認可を巡る問題がIRAの目的を妨げているとリポートは指摘している。