[シンガポール 11日 ロイター] - シンガポール貿易産業省が11日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)改定値は、速報値から下方改定されたものの景気後退(リセッション)入りは回避した。

GDPは季節調整済みの前期比で0.1%増と、速報値の0.3%増を下回った。同省当局者は記者会見で、年内にテクニカルリセッションは予想していないと述べた。

GDPは前年比では0.5%増。速報値は0.7%増、第1・四半期は0.4%増だった。

同省は「年内の外需の見通しは引き続き弱い」とし、今年の成長率見通しを従来の0.5─2.5%から0.5─1.5%に修正した。22年の成長率は3.6%だった。

鉱工業生産と輸出は9カ月連続で減少しており、景気低迷が長期化するリスクが高まっている。

同省のチーフエコノミストYong Yik Wei氏は、製造業の減速は政府が当初想定していたよりも「少し長引く」が、海外からの観光客と消費者向けセクターの底堅さにより、今年後半は緩やかな回復を見込んでいると述べた。

インフレ率は上期を通じて高止まりし、6月は若干の緩和が見られた。当局は下期にはコアインフレがさらに鈍化すると予想している。

シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)の当局者は11日、成長率とインフレ率の動向は予想の範囲内だとし、MASの政策スタンスは「適切」と述べた。

経済活動の勢いは弱いが、アナリストはMASが10月の政策決定会合で現状を維持すると予想している。

バークレイズのエコノミスト、ブライアン・タン氏は「物価水準がまだ高く、また物品・サービス税(GST)が来年引き上げられることを踏まえると、MASは政策緩和に消極的だろう」と述べた。

MASは2021年10月から5回連続で金融政策を引き締めた後、今年4月は成長見通しを巡る懸念を反映して据え置きを決めた。