コーチを展開するタペストリー、マイケル・コース親会社を買収へ

（ブルームバーグ）：高級ファッションブランドのコーチやケイト・スペードを展開する米タペストリーは、ライバルブランドのマイケル・コースの親会社カプリ・ホールディングスを85億ドル（約１兆2200億円）で買収することで同社と合意した。

10日のタペストリー発表によると、買収額はカプリ１株当たり現金57ドル。前日の終値に対して65％のプレミアムに相当する。規制当局とカプリ株主の承認を経て、2024年に完了する予定だ。

ニューヨーク株式市場ではタペストリー株が取引開始前の時間外で一時６％下落。カプリは59％上昇した。

ウェルズ・ファーゴのアナリスト、アイク・ボルチョー氏は「マイケル・コースが加わったことで、タペストリーは米国における手の届く高級ハンドバッグ市場で圧倒的ナンバーワンの地位を固めた」とリポートで指摘。両社の「手の届く」高級品は、ＬＶＭＨモエヘネシー・ルイヴィトンのような最高級ブランドよりもはるかに安価だ。しかし米国ではコロナ禍で火が付いた高級品ブームが下火になり、買い物客が消費を控えているため、こうした手の届く高級品セクターはここ数四半期、厳しい状況に置かれている。

原題：Coach Owner to Buy Michael Kors Parent in $8.5 Billion Deal (2)（抜粋）

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注目のコメント

酒井聡
㈱ニューロープ CEO / PIIF 准教授 / 純文学小説家
・2023年08月11日
カプリ・ホールディングスはマイケルコースの他、ベルサーチやジミーチュウなどのブランドを抱えています。
地域別セグメントではアメリカ:EMEA:アジアでざっくり6:3:1.5くらい。
ブランド別ではマイケルコース:ベルサーチ:ジミーチュウで8:2:1くらい。
22年→23年のレベニューはほぼ横ばいですが、直近四半期は前年比10%ほど下落していて苦しんでいます。他エリアが健闘する中思いっきりアメリカが足を引っ張る構図で、地域別売上の依存度が裏目に出ています。
一方でコーチはざっくり北アメリカとその他エリアの売上比率が1:2。
当然ながら生産背景の共有や米国内のリテール最適化などの資本効率化も図るのでしょうが、長期的に見るとグローバルマーケティングで大きなテコ入れが期待できるのではないかと思います。
中野香織
Kaori Nakano Co.,Ltd. イギリス文化を起点に、ダンディズム史、ファッション史、ラグジュアリー領域へと研究対象を広げている
・2023年08月11日
ヨーロッパ・コングロマリット勢に対抗するアメリカ側の動きとも見えますね。「アクセシブル（手の届く）」というスタンスそのものがアメリカ的ですが、アウトレットでのたたき売りイメージがむしろ強力になっています。量産型「中の上」という立ち位置はこれからの時代、大きな欲望をかきたてるとも需要があるともあまり思えず、大きく戦略を変えていくことが必要になろうかと拝察します。今後の展開が楽しみです。
曽根原大介
インベストメントブリッジ社長室長
・2023年08月12日
85億ドル（約１兆2200億円）で買収。
手の届くブランド品、高額消費が落ち着いてきて低価格傾倒になってきたアメリカでどうなっていくか！