(ブルームバーグ): 人事院は7日、2023年度の一般職の国家公務員の給与改定で、月収を約2.7%引き上げるよう勧告した。物価上昇や人手不足を受けて今年の春闘の賃上げ率は30年ぶりの高水準となっており、民間企業の給与水準を公務員に反映させる。

うち、毎月の基本給を引き上げるベースアップ相当分は3869円(約0.96%)と、過去5年間の平均360円(約0.1%)の10倍。増加額としては29年ぶり、率としても26年ぶりの高い水準となる。これにより、年間平均給与は10万5000円増え、約673万円となる。ボーナスは0.10カ月増の年4.50カ月分とするよう求めた。いずれも増額は2年連続で、年収ベースで約3.3%の改善となる。

岸田文雄首相が「インフレ率を上回る賃上げの実現」を掲げる中、今春闘では大手企業がけん引役となって平均賃上げ率は3.58%に達した。国家公務員の給与は民間企業の給与水準との均衡(民間準拠)を基本としており、人事院が民間企業(企業・事業所規模50人以上)の給与額と比較し、算出する。地方公務員の給与改定にも影響を与える。

政府は、勧告の取り扱いを関係閣僚会議で協議し、閣議決定を経て給与法の改正案を次期国会に提出する。

今年の勧告は、初任給を高卒で1万2000円(約8%)、大卒で1万1000円(約6%)引き上げるなど、若年層の給与改善に重点を置いている。また、テレワークを中心に働く職員に対しては月3000円の在宅勤務手当を新設。育児や介護などに従事する職員に認められている「選択的週休3日制」を一般でも利用可能にする法改正も勧告した。

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