2023/8/6

【検証】太陽系外からの来訪者「オウムアムア」の正体

フリー 科学記者・編集者
2017年10月、太陽系外の別の惑星系からやってきたと思われる、謎に満ちた天体が発見された。直径は数百メートル、色は赤みを帯びており、太陽系内の有機物を多く含んだ小天体と似ているとされている。
太陽系の外から飛来した天体の発見は史上初。
それだけでも大きな衝撃だったのだが、明るさが激しく変動したり、謎の加速をしていたりと、非常に奇妙な性質をもっていたため、「地球とは別の文明が送り出した探査機なのではないか」という説すら飛び出した。
しかもこの説を唱えたのは、これまで天文学の世界で数々の業績を残してきた、米ハーバード大学のアヴィ・ローブ天文学科長(当時)だったのだから驚きだ。
謎の天体は「オウムアムア」と名付けられた。天体を発見したのがハワイのマウイ島にある望遠鏡だったことにちなみ、ハワイの言葉で「遠方からの初めての使者」を意味している。
葉巻のような細長い形状として描かれたオウムアムアの想像図(画像:ESO/M. Kornmesser)
オウムアムアの正体を巡っては今も議論が続く。今年3月には、英科学誌『nature』で、その正体についての新説が発表されている。
彗星や流れ星、小惑星などの研究をしている国立天文台の渡部潤一・上席教授にオウムアムアを巡る論争などについて話を聞いた。
INDEX
  • 太陽系外からの意外な来訪者
  • 観測例のない奇妙な形状
  • 謎の加速と探査機説
  • 観測できないガスを噴出?
  • 今後も「来訪者」の発見は続く