(ブルームバーグ): 超電導体技術の飛躍的前進の可能性に関するさまざまな主張が市場と産業界で興奮と論争を巻き起こす中で、韓国の専門家らがこうした主張を検証する委員会を創設した。

教授や専門家から成る韓国超電導低温学会(KSSC)は韓国のクォンタムエネルギー研究所に対し、常温超電導体の検証プロセスに必要なサンプルの提出を要請した。KSSCが2日の発表資料で明らかにした。常温超電導体を巡る主張が韓国内外で大きな議論を巻き起こしており、検証機関が存在しない中で、未検証の主張が多く出ていることを懸念していると説明した。

超電導体とは、特定の状況下で電気抵抗ほぼゼロで電流を伝達できる物質。超電導状態をつくる技術開発のアイデアは、電流伝達の際のエネルギー損失をなくし、地球温暖化の抑制に貢献できる可能性を秘めているため関心が高い。だが、超電導状態を達成できたのはセ氏マイナス269度といった極端な温度や圧力の状態に限られてきたため、応用は病院の磁気共鳴画像装置(MRI)などに限定されてきた。 

クォンタムエネルギー研究所やその他の韓国専門家は先月、室温かつ常圧で超電導状態になる物質「LK-99」を開発したとする論文を発表。中国の科学者チームが韓国チームの発見を再現したとする動画を公開したことで興奮がさらに高まった。

KSSCは、アーカイブにある論文や公開動画によってこの物質が常温超電導体かどうかを判断するのは現時点では困難だとした。クォンタムエネルギー研究所からサンプルが提供されれば、KSSCメンバーが所属する研究機関が相互検証を行うと説明した。

検証委員会は、この分野の専門家であるソウル大学のキム・チャンヨン教授が率いる。

実証されれば、科学技術に大きな影響を与える画期的な研究成果となるが、それが学術的な審査なしに公開され、経済的・社会的な影響を及ぼしていることは憂慮すべきことだと、KSSCはコメントした。

クォンタムエネルギー研究所は問い合わせに返答していない。

原題:Korea Superconductor Experts Seek to Test Breakthrough Claims、

Why Everyone Is Obsessed With Ambient Superconductors: QuickTake(抜粋)

(3段落目に背景を追加して更新します)

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