「キャリア計画がない」私はダメ人間ですか？

2015/3/13

【楠木先生への相談】

連載をいつも楽しく拝読しています。楠木先生のキャリア相談を見ていると、どなたも皆、きちんとキャリア計画を立てられている印象を受けます。MBAはいい悪いだとか、起業すべきか転職すべきか、だとか。

ところが私は、明確なキャリア目標がありません。もちろん普通のサラリーマンですので（メーカー・営業）、会社には一応目標を求められます。しかし、それはあくまで数字だとか、適当に書けば済む話。

問題なのは、私自身にそれほど「これをやりたい」というほどの情熱や希望がないことです。もちろん、仕事は完璧とは言えないまでも、AかB評価はもらえるぐらい頑張っていますし残業もたくさんしています。しかしそれはNewsPicksの皆さんのように将来のためなどではなく、とりあえずやるからには頑張ろうかな程度の気持ちなのです。

周囲はそんな私に「若いうちはまだいいいが、一生の目標がないと、伸びないよ」などど言ってきます。いいかげん私も明確なキャリア・プランを考えるべきなのでしょうか。

（メーカー勤務・男・27歳）

ほとんどのことは思い通りにならない

個人的な好みで言えば、これは僕が今までいただいた中で最高の相談です。この人なら友達になれそうです。キャリア計画は全然必要なし。これが僕の答えです。

コメント

注目のコメント

• 楠木 建

  一橋大学 教授

  ・2015年03月13日

  「いつやるの？」「今でショ！」というわけには必ずしもいかないのが人間。「今じゃないな、どうも気ノリしない」というときは無理やり「今でショ！」というよりも自分の気分に忠実に、やらないことにしています。
• 西村 創一朗

  株式会社HARES 複業研究家／HRコンサルタント

  ・2015年03月13日

  「5年後、10年後のキャリアプランは？」とか平気で聞いてしまう人事は今すぐスタンフォード大学クランボルツ教授のPlanned Happenstance Theory(計画的偶発性理論)を学ぶべき。
  今、満足のいく仕事をしているビジネスパーソンの8割が「キャリア計画」とは全然違う仕事に従事しているというファクトを知らない人があまりに多すぎる。
  まだ見えぬ未来から逆算してキャリアを描くのではなく、過去・現在の自分の経験から、今やっていること、今やりたいことを結びつけてストーリーを創るジョブズ的な"Connecting the dots."なアプローチの方がよっぽど有用です。
• 山口 真由

  元財務官僚

  ・2015年03月13日

  こういうアドバイス、私が社会人になりたてのときに聞きたかった。
  弁護士になったばかりのころに、上司から『電通鬼十則』を渡されて、「長期の計画を持て！」と言われて、「30年度の自分を明確にイメージしろ！」と命じられた。
  5年後すら無理なんだけど、私って、社会人失格なのかなって落ち込んだのを、よく覚えてる。
  
  長期的な契約を持てっていうのは、社会がこれからもずっと変わらず同じである（または同じ速度で成長していく）と信じることができた旧世代の遺物なのだと、今なら思える。