ビッグモーターの兼重社長、組織的不正を否定「個々の工場長がやった」(産経新聞)
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法人としての法的責任が問われかねない事案で、「個々の社員がやったこと」という釈明は、経営者としての責任を回避できるようで、実際はさらに大きなリスクに繋がりかねません。
企業としては、個々の社員が自己の判断で不法行為が実行できる環境を放置していたことに対する、使用者としての法的・道義的責任が問われます。また、車両の購入や修理の契約は、購入者または依頼者と法人たる同社との間で締結されるものであり、個々の工場長が実際以上の損傷を車両に与え、修理代金として保険金を受け取るという行為の責任を一義的に負うのは、工場長個人ではなく法人である同社だからです。
法的責任に関する判断は、法律の専門家に委ねることになりますが、個々の社員に責任を転嫁したところで、本事案から同社が被る経済的損失による資本の毀損や、社会的信用の低下による収益低下の影響は、非上場企業で株式の大部分を保有する社長自身が被ることになります。ここまで騒ぎが大きくなれば、金融機関もさらなる貸付を渋る(むしろ債権があれば、収益の低下による回収可能性の低下を恐れて、その回収に動くかもしれません)でしょうし、同社のコンプライアンスとガバナンスの現状を見れば、上場企業になって資本を外部調達することなど不可能です。売上の低下が長期化すれば、経営の維持に社長個人による資本の調達と追加が必要となることから、企業存続の先行きは極めて厳しいと考えざるを得ません。
コンプライアンスやガバナンス、経営リスクマネジメントが不十分である企業は生き残れない時代になったということを、経営者自身が自覚する必要がありますし、リスクコンサルタントとしてもそうしたサポートを強化しなければならないと考えています。