2023/7/20

【最新研究】私たちには「静寂(無音)」が聞こえている

NewsPicksでは週7日毎日、世界のトレンドの背景を追うシリーズを開始しています。木曜日は「Next Big Thing(次のテクノロジー)」です。
INDEX
  • 静寂は「音」なのか?
  • 脳に植えられた光景
  • 聴いていないが「聞こえている」
  • 「沈黙の意味」を考える

静寂は「音」なのか?

演奏が終わった瞬間の静寂。ドラマチックなスピーチにはさまる間(ま)。
車のエンジンを切ったときの静けさ。
何も音がしないときに聞こえる、あれは何なのか。
私たちは静けさを知覚しているのか。それとも、何も聞こえない、音の欠落状態を静寂と理解しているのか。
サイモン&ガーファンクルの往年の名曲に「サウンド・オブ・サイレンス」(沈黙の音、という意味だ)があるが、これは哲学的な問いや、心理学的な問いにもなりうる。
(Studio Images/iStock/Getty Images)
実際、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に7月10日に掲載された論文によると、ある研究チームが「音の錯覚」と呼ばれる現象を利用して、人間には音と同じくらい「静寂」が「聞こえている」ことを明らかにした。
脳が静寂をどのように処理しているのかは明らかにしていないが、その結果は、人間が静寂をたんに雑音と雑音の間としてだけでなく、特定のタイプの「音」と認識していることを示唆している。