(ブルームバーグ): 観測史上最も暑かった6月に続き、7月もすでに観測史上最高気温を記録した日が10日もあった。米国と欧州の大半、アジアの一部を熱波が襲い、太平洋では「エルニーニョ」現象が進行。大西洋側でも米フロリダ州沖で海水の温度が前例のないセ氏32.2度を記録した。2023年はこの時点ですでに、19世紀に記録が始まって以来最も気温の高い年になる可能性が非常に強くなっている。

非営利の研究団体バークレー・アースは19年10月以来、各月の世界気温を分析し、その年の最終的な暑さの順位について予測している。7月11日に発表された最新の分析によると、「23年が記録上最高温の年になる可能性はかなり高く、現時点でその確率は80%を超えている」と、気候科学者ジーク・ハウスファーザー氏は言う。

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年間の気温ランキングは翌年1月に最終決定する。現在までのところ、観測史上最も暑い年は2016年と20年のタイ記録となっている。

気候観測者たちにとって、この夏の猛烈なペースでの記録更新は前から予測されていた厳しいパターンであり、それが急激に変わる可能性はほとんどない。フランス国立科学研究センターの教授で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書の執筆者であるカミーユ・パルメザン氏は「これは20年前から予想されていたことだ。私たちが排出量を減らしていない以上、このようなことは起こり続けるだろう」と述べた。

大気中の温室効果ガス排出量が増加したため、地球はすでに産業革命前から1.2度温暖化している。米海洋大気庁(NOAA)によれば、過去23年のうち22年が観測史上最高気温の年だった。気候科学者が繰り返し警告しているように、この傾向を止める唯一の方法は、化石燃料の使用削減を中心に、気候汚染物質を劇的にかつ即座に減らすことだ。

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気候変動の悪化は異常気象の頻度と強度を高めており、今年の夏も例外ではない。熱波は日本やインド、米国を苦しめており、米北東部は壊滅的な洪水に見舞われている。地中海沿岸の記録的な高温に続き、欧州は干ばつに苦しんでいる。カナダは制御不能の山火事と闘っており、危険な煙が北米の広範に押し寄せ、何百万人もの健康に害を及ぼした。

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今年は特に暑い夏と秋となり、さらに多くの災害が地域社会を苦しめると予想されている。ハウスファーザー氏は「悪いことだらけだ」と語った。

原題:This Year Is Already on Track to Be the Hottest Ever Recorded(抜粋)

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