[ビリニュス/パリ 12日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)は12日にリトアニアで開催した首脳会議で、東京に連絡事務所を新設する案について合意できなかった。

フランスのマクロン大統領は会議後の記者会見で、NATOは北大西洋地域に重点を置くべきだと述べた。NATOのストルテンベルグ事務総長は、東京事務所の案は将来的に検討されると述べた。

この案はフランスが以前から反対し、中国が批判している。

中国の軍事力拡大を警戒する米国はNATOが日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどアジア太平洋諸国と専門知識を共有して関係を構築することを推進してきた。

マクロン氏は、NATOは北大西洋を拠点とする組織であるという原点に忠実であり続けることが重要だとし、NATOが地理的な拡大を望んでいるとの印象を与えてはならないと指摘。物理的なプレゼンスではなく、日本とのパートナーシップを発展させるのが望ましいとの考えを示した。

ストルテンベルグ氏は「(東京)連絡事務所の問題はなお検討事項になっており、将来的に検討される」と語った。

同氏は中国の軍備増強と核戦力の拡大をNATOは懸念していると述べた。

この地域でのNATOの役割は、世界的な軍事同盟になることではないと強調した上で、インド太平洋における動向は欧州に影響を及ぼすと指摘。「安全保障は地域的ではなく、世界的な問題だ」と述べた。

「中国がいかに近づいてきているかをわれわれは目にしている。NATOが世界的な軍事同盟になるということではく、中国の台頭などグローバルな課題に地域が直面している状況を認識するということだ」と語った。

NATO関係者は、提案されている東京事務所について、職員数人の小規模なもので、パートナーシップの構築に焦点を当て軍事的な拠点にはならないとこれまでに述べている。