[モスクワ 28日 ロイター] - ロシア民間軍事会社ワグネルが起こした武装反乱で国内エリート層の一部は国全体が内乱に突入するとの危機感を募らせ、国外への脱出を急いだことが明らかになった。航空機追跡データや関係筋によると、反乱を受けて首都モスクワからは複数の自家用機が飛び立った。

エリート層が懸念したことの一つは、エフゲニー・プリゴジン氏率いるワグネルの部隊がモスクワに進軍して経済を掌握しようと試み、資源など権益の再配分が起きるというシナリオだ。

ただ、モスクワから約200キロメートルの地点でワグネルは撤収し、反乱は1日で収束した。エリート層の間では、反乱で顔に泥を塗られたプーチン大統領が国内統制をさらに強め、忠誠心が足りないと見なす要人に報復するとの懸念が新たに生じた。

ある関係筋は匿名を条件に「ロシアが新たな現実を突き付けられた」と語り、「武装集団が国全体を意のままにする可能性が常にある」ということが今回の反乱で示されたとした。

別の関係筋はワグネルが反乱を開始した24日に多くの人は家族でモスクワを脱出する準備を急いだと述べた。「今回起きたことのスピードと重大さに誰もがショックを受けた。これはクレムリン(大統領府)も同様だ」と述べた。

<外貨・航空券獲得に奔走>

政財界トップエリートの考えに詳しい関係筋は「失うものがある人は誰もが強い緊張感を抱いた」と述べた。

武装反乱を受けてロシア各地で国民は銀行からルーブルを大量に引き出し、外貨との交換を求めた。ベロウソフ第1副首相によると、外貨と現金の需要は平均で約30%増え、武装蜂起の場所に近い南部の地域や大都市では70─80%急増した。

セルビアの首都ベオグラードへの直行便は航空券が完売となり、ソチ経由ベオグラード行き片道便の航空券は価格が6万3700ルーブル(約10万6000円)まで高騰した。トルコのイスタンブール行きの便は価格が4倍に急騰した。

エリート層の一部はプーチン大統領が今後、自らの地位を強固にするため、忠誠心のアピールが足りなかったと見なす要人を排除すると懸念している。

別の関係筋は「首が飛ぶことになる」と警告。「誰が沈黙したり、大統領への支持を表明しなかったのかを当局は検証するだろう」と述べた。

(Guy Faulconbridge・Darya Korsunskaya・Gleb Stolyarov記者)