[28日 ロイター] - 米不動産投資信託(REIT)大手SLグリーン・リアルティがこのほどニューヨーク市中心部の高層ビル「245パークアベニュー」の約50%の権益を日本の森トラストに売却したが、その前に複数の海外投資家が関心を寄せていたことが事情に詳しい関係者の話で分かった。

価格下落が続くオフィス用不動産市場にあって、一部の優良物件に対する需要は堅調さを維持している様子がうかがえる。

今年に入ってからはマンハッタンでも、オフィス用不動産は大幅に値下げして販売されている。金利上昇や供給過剰、在宅勤務の普及が背景だ。それでも専門家の話では、通勤に便利な一等地にある物件の価格は底堅い。

不動産投資を手がけるプライベートエクイティ会社ノースウインド・グループ創業者のラン・エリアサフ氏は「新型コロナウイルスのパンデミック発生以来、オフィス資産は重大な試練に直面してきた。しかし通勤に適した『Aクラス物件』、特にグランドセントラル(駅)近くの物件は二等地物件に比べて値動きがしっかりしている点は注目に値する」と述べた。

関係者の話では、SLグリーンと森トラストの取引における245パークアベニューのグロスベースの評価額は20億ドルで、昨年9月のSLグリーンの取得額19億6000万ドルをやや上回っている。

バークレイズが27日公表したリポートによると、第1・四半期末の245パークアベニューの稼働率は約84%で、海外投資家にとっては妙味がある。

ただ複数の市場参加者は、ニューヨークでも米国全体でもオフィス用不動産の最悪期はこれからやってくると警鐘を鳴らしている。

ムーディーズのデータに基づくと、第1・四半期には米国内の比較的質の低い物件で空室率は上昇した。