[トロント 19日 ロイター] - カナダ最大都市トロントで26日に行われる市長選に、過去最多の102人が立候補する異例の事態となっている。犬の「代弁者」として愛犬と共に出馬する候補者や、18歳の高校生も名乗りを上げている。

乱立する候補の中で最も異色なのは、愛犬モリー(7)と「二人三脚」で立候補したトビー・ヒープス氏。出馬表明の動画で高速道路をローラーブレードで走り、自ら「underdog candidate(勝ち目のない候補)」と称しつつ、犬にも人にも優しい社会の構築を訴える。

市内の高校で学ぶメイヤー・ストラウス氏は18歳の誕生日を迎え、立候補した。自身の名前が市長(mayor)と同じ発音であることを売りに、最年少候補として選挙に挑む。市内でアライグマがゴミをあさるなどの問題に言及し「アライグマが警察官や消防士になるよう訓練する」などジョークを交えた政策を掲げ、若年層にアピールする。

選挙戦で現在トップを走るのは、ベテラン女性政治家オリビア・チャウ氏(66)。イプソスの最新世論調査によると、約38%の支持を獲得している。黒人男性で元トロント警察署長のマイケル・ソーンダース氏(61)、市議会議員を務めたアナ・バイアロ氏(46)が続く。

トロント市長を巡っては近年、不祥事が相次いだ。2014年から市長を務めたジョン・トーリー氏は、元スタッフとの不適切な関係が明るみに出たことを受け、今年2月に辞任。前任の故ロブ・フォード氏はコカイン使用や飲酒運転で物議を醸した。

地元メディアによると、2022年に実施されたトロント市議会選挙では投票率が約29%と過去最低に落ち込んだ。102候補乱立の話題が市長選への関心を呼べるかが鍵となりそうだ。

(北山敦子、編集:佐々木美和)