[ロンドン 9日 ロイター] - 英石油大手シェルは、投資家の信頼回復を目指すサワン最高経営責任者(CEO)の取り組みの一環として、2030年まで石油生産規模を維持するか若干増やしていく方針だ。石油・ガス事業の利益が増える一方、再生可能エネルギー事業が不採算に見舞われていることが背景。シェルの3人の関係筋が明らかにした。

サワンCEOは来週の投資家向けイベントで、石油生産を年間1─2%削減する目標撤回を発表する予定。シェルは米国のシェール事業などの石油資産を売却し、減産目標をほぼ達成している。

スワン氏は、石油・ガス開発は今後数年間シェルの中核事業になるとした上で、低炭素事業への移行は利益を犠牲にして行うものではないと主張した。同氏は1月にCEOに就任し、同社の株価が同業大手に比べ低迷していることを受け、業績改善を目指すと約束していた。

シェルは、収益性が低いと見込み、ここ数カ月間に沖合風力発電や水素、バイオ燃料など複数の開発事業を中止。このほか、わずか数年前までエネルギー転換のカギになるとみられていた欧州の電力小売事業についても、撤退を決めた。一方、同社は昨年、石油・ガス価格高を背景に、過去最高の約400億ドルの純利益を計上した。