[シドニー 7日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は7日、前日の理事会で決定した利上げについて、インフレ率を目標に戻す取り組みが長期化する中でインフレが上振れるリスクが存在することが理由だと述べた。

中銀は6日、政策金利を11年ぶり高水準の4.1%に引き上げた。

総裁はシドニーで開かれたイベントで、インフレ抑制にはさらなる引き締め策が必要になる可能性があるとの認識を示した。その上で、経済・インフレ動向に左右されると指摘した。

4月に利上げを中断して以来、インフレリスク評価が変化したと述べ、賃金や住宅価格、サービスインフレに上振れサプライズがあったと明らかにした。

「われわれは忍耐強くいる準備をしてきたが、忍耐には限界があり、(インフレ)リスクはその限界を試し始めている」と述べた。

現在、一部アナリストは金利のピークを4.6%と予想。ゴールドマン・サックスは4.85%としている。数週間前には多くの銀行が4.35%が最終到達点とみていた。

市場では、金利が9月までに4.35%に達することがほぼ確実視されている。早ければ来月にも利上げが行われる可能性がある。

その場合、経済成長の原動力がさらに阻害される可能性がある。

例えば、前四半期のGDP(国内総生産)は企業投資によって支えられたが、アナリストはこの先減速すると予想。また、生活費の高騰と金利上昇に圧迫された消費者は裁量的支出を減らし、第1・四半期のGDP成長率にわずか0.1%ポイントしか寄与しなかった。

キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、マルセル・ティエリアント氏は「一見すると、中銀がブレーキから足を離す可能性を示唆しているようだ」としつつ、「さえない生産性向上によって、われわれが想定していた4.35%のピークよりも中銀が金利を引き上げなければならなくなるリスクが高まっている」と述べた。

中銀は現在約7%のインフレ率が目標(2─3%)の上限に低下するのは2025年半ばになると予想している。労働市場の力強い伸びを維持したい意向で、他の多くの国よりも遅い道のりとなる。

総裁は「インフレとの戦いで勝利宣言するのはまだ早い」と語り、リセッション(景気後退)を招くことなく目標を達成する道筋は狭く、険しい道のりになるだろうとした。

「労働市場の成長を維持したいという願いは、理事会が持続的なインフレ上昇を容認することを意味するわけではない」とも述べた。

また、今後の政策決定において理事会が注視する世界経済、家計支出、単位労働コストの伸び、インフレ期待という4つの分野について説明した。

国内のサービス価格インフレ率は依然として高く、家賃は急上昇し、電気料金はさらに上昇する見通しだと指摘。単位労働コストも生産性向上を伴わずに急速に上昇しており、中期的なインフレ期待は上昇に転じる可能性があるとした。

「インフレ沈静化はオーストラリアの利益であり、近い将来にそうする。理事会はそれを達成するために必要な措置を講じる」と語った。