[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は6日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを0.25%引き上げ、11年ぶり高水準の4.10%とした。利上げによって、インフレが妥当な時間軸内に目標に戻るという信頼感が高まるとした。

また、インフレが確実に目標に戻るよう、金融政策の追加引き締めが幾分必要になる可能性もあると述べた。

市場は据え置き予想に傾いていたが、0.25%利上げの可能性も40%織り込まれていた。

中銀はインフレ率が依然高すぎ、高水準のインフレ期待が定着することを回避したいと表明。また、昨年7月以降の声明にあった「中期的なインフレ期待は依然としてしっかりと固定されている」との文言を削除した。

TDセキュリティーズのアジア太平洋担当金利ストラテジスト、プラシャント・ニューナハ氏は「文言削除により、中銀は中期的なインフレ期待の軌道について以前ほどの自信をもはや持っていないと考えられる」と指摘。「われわれの見解では文言削除はタカ派的であり、今後のさらなる利上げを示唆しているのかもしれない」と述べた。

声明発表を受け、豪ドルは0.8%高の1豪ドル=0.6667米ドルと、2週間半ぶり高値に上昇。3年物国債利回りは12ベーシスポイント(bp)上昇の3.660%と、2月以来の高水準となった。

市場はまた、7月追加利上げの可能性を60%と見なしている。

ANZのオーストラリア経済担当責任者、アダム・ボイトン氏は、中銀が8月にさらに0.25%利上げすると予想。「前倒しで動く可能性もある。リスクはもう一回だけでなく、もっと動く必要が出てくる方に傾いているようだ」と語った。

中銀のロウ総裁は声明で「オーストラリアのインフレ率はピークを過ぎたが、7%では依然高すぎ、目標レンジ内に戻るまで一定の時間がかかる」と指摘。「今回の利上げにより、インフレ率が妥当な時間軸内に目標に戻るという自信が強まる」と述べた。

また「経済の余剰生産能力が限られていることや、失業率がなお非常に低いことを特に考えると、高インフレが続くという期待が物価と賃金のさらなる上昇につながるリスクに対し、理事会は引き続き警戒する」としている。

中銀は昨年5月以降400ベーシスポイント(bp)の利上げを実施。5月にはいったん休止した利上げを再開し、市場関係者を驚かせた。

<景気後退リスク>

インフレ抑制と安定成長維持との間で政策の綱渡りを強いられる中、ロウ総裁は6日、「ソフトランディング(軟着陸)達成への道は依然として狭い」と述べ、経済がより顕著に低迷するリスクを認めた。

NABの市場経済担当責任者、タパス・ストリックランド氏は「中銀が金利を引き上げるにつれて、景気がさらに減速するリスクが高まっている」と述べた。