20150115_特別編_ペップグアルディオラ

連載特別編

ペップの年俸を米国企業トップと比較する

2015/2/28
サッカー界において世界最高の監督は誰か? もし指導者の間でアンケートを行なったら、最も票を集めるのはペップ・グアルディオラだろう。バルセロナで2度CLの頂点に立ち、昨季は新天地のバイエルンで二冠を達成した。今回はグアルディオラの年俸を考察する。

マネー1:年俸はサッカー界の監督で一番

サッカー界において、最も年俸が高い監督は誰か?

バイエルン・ミュンヘンを率いるペップ・グアルディオラである。

ブラジルの調査会社『Pluri Consultoria』によると、グアルディオラのバイエルンにおける年俸は1700万ユーロ(約22億1000万円)。2位のモウリーニョの1003万ユーロ(約13億390万円)を大きく引き離している。

【サッカー監督年俸ランキング】
 1位グアルディオラ1700万ユーロ(約22億1000万円)
 2位モウリーニョ(チェルシー)1003万ユーロ(約13億390万円)
 3位リッピ(広州恒大)1000万ユーロ(約13億円)

*1ユーロ=130円で換算。リッピは今年2月に退任。

マネー2:他スポーツの監督と比べてもダントツ

では、他のスポーツの監督やヘッドコーチと比べるとどうか?

意外にもメジャーリーグ(MLB)は監督の給料がそれほど高くなく、破格と言われたジョー・トーリの年俸でさえ年間約7億円だった。他は1億円前後の監督が多い。

高報酬で知られるカレッジフットボール(アメリカンフットボール)の世界では、アラバマ大学を率いるニック・セイバンが716万ドル(約8億2340万円)で一番(USA Todayより)。

NBA(バスケットボール)では、ロサンゼルス・クリッパーズを率いるドック・リバースが最高額で、1000万ユーロ強(約11億5000万円)と言われている(ESPNより)。

グアルディオラは、世界で最も稼ぐ監督なのだ。

マネー3:米国企業トップと比べてもベスト5に入る

スポーツの世界で一番だとしたら、ビジネスの世界ではどこに位置するのだろう。

2014年12月5日の東洋経済オンラインの記事『ケタ違い!これが米国CEO報酬トップ300だ』を参照すると、米国企業トップの中に入ってもグアルディオラはベスト5に入ることがわかる。

詳細はリンク先を見てもらうとして、上位5社の企業名と報酬額を引用すると、1位トランスダイム・グループ(56億397万円)、2位フィデリティ・ナショナル・ファイナンシャル(49億75万円)、3位フリーポート・マクモラン・カッパー・アンド・ゴールド(46億9085万円)、4位ウィン・リゾーツ(22億7258万円)、5位オムニコム・グループ(20億9496万円)となっている。

(ちなみに日産自動車のカルロス・ゴーン社長の2013年度報酬は9億9500万円)

つまりグアルディオラは、ウォルト・ディズニーのCEO(19億7544万円)やタイム・ワーナーのチェアマン(19億1033万円)より報酬が多いということだ。

大ヒット作が生まれるととてつもない額を稼ぐ映画監督を除けば(たとえばジェームズ・キャメロン監督は『アバター』により約200億円を手にした)、エンターテインメント界でもグアルディオラの報酬はトップクラスである。

人脈:オイルマネーとの強いパイプ

グアルディオラは中東のカタールと強いパイプを持っている。

きっかけは現役生活の終盤に、カタールのアル・アハリでプレーしたことだ(2003年から2シーズン)。

この後も関係は続き、2010年にはカタールの2022 年W杯招致の親善大使に就任した。同国は見事、招致合戦に勝利。グアルディオラは基本的にインタビューを受けないが、ドーハにおけるサッカーのイベントで講演するなど特別な態度で接している。

ドイツのビルト紙が、グアルディオラは2022年W杯でカタール代表の監督になる可能性があると報じたほどだ。

FIFA理事選などサッカー政治の世界では、裏金が乱れ飛ぶのが常識。グアルディオラはあくまで監督だが、カタールとの“同盟”は今後のキャリアにおいて大きなアドバンテージになりそうだ。

*本連載は毎週土曜日に掲載する予定です。